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UnitoがシリーズDで約10億円を調達し事業拡大へ

Unitoが、シリーズDラウンドにおいて、第三者割当増資および融資を組み合わせたファースト・セカンドクローズにより、総額約10億円の資金調達を実施したと発表。今回のラウンドには、大東建託株式会社、株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)などの事業会社が出資者として名を連ねている。これにより、Unitoの累計調達額は約20億円に達した。

Unitoは、可変賃貸サービスや短期宿泊運営を軸にした「可変型不動産ソリューション」を提供するスタートアップで、ライフスタイルの多様化に対応する柔軟な住空間を提案してきた。東京都心を中心に、居住・宿泊ニーズを両立させる「可変賃貸」を展開し、住宅の稼働率最適化や利回り向上に寄与している。ユーザーは月額単位での住み替えや、住まいとしての長期利用・宿泊としての短期利用などを柔軟に選べるのが特徴である。

今回の資金調達は、Unitoの事業拡大とプロダクト強化を目的としたもので、主に以下の3点に注力していく構えだという。第一に、自社で開発・提供する賃貸・宿泊一体型管理システムの機能強化。物件オーナーや管理会社向けに、収益最大化を支援するダッシュボードや在庫管理機能の充実が予定されている。第二に、運営物件の拡大と新規マーケットへの展開。特に地方都市における可変賃貸需要の取り込みを目指し、事業エリアの裾野を広げていく。第三に、戦略的なM&Aによる事業成長の加速である。

これまでUnitoは、空室期間を収益化する仕組みとして不動産業界からの注目を集めてきた。特にホテルと賃貸住宅の機能を融合させたプロダクト設計が評価され、大手デベロッパーや不動産ファンドとの提携実績も増加している。今回出資を行った大東建託とは、既に一部物件で共同プロジェクトが進行中であり、今後の協業深化にも期待がかかる。

また、旅行業界大手のHISからの出資は、宿泊予約チャネルの拡充や訪日外国人観光客向けサービスの展開においてもシナジーをもたらす可能性がある。観光・不動産・テクノロジーの交差点に立つUnitoにとって、今回の調達は次なる成長曲線に向けた重要なステップとなりそうだ。

流動性の高い都市居住のニーズが拡大するなか、Unitoの提供する「可変賃貸」という新たな住まいの形は、社会課題の解決策のひとつとしても存在感を強めている。今後の展開がますます気になる企業のひとつだ。