ドライバー不足に挑むGOジョブが10.5億円の資金調達を発表

GOグループ傘下のGOジョブ株式会社が、2025年6月27日に、シリーズAラウンドにおいて総額10.5億円の資金調達を実施すると発表した。引受先には、フォースタートアップス、スパークス・グループが運営する未来創生3号ファンド、SBIレオスひふみ、大和ハウスベンチャーズの計4社が名を連ねており、事業の成長可能性に対する期待がうかがえる。
GOジョブは、モビリティ関連事業を手がけるGO株式会社(旧:JapanTaxiおよびDeNAモビリティ)から分社化された人材採用事業会社である。主に物流・バス・建設などのドライバー領域に特化した採用支援プラットフォームを展開しており、慢性的な人手不足が課題とされる輸送・運送業界の構造的な人材難にアプローチしている。
GO株式会社が培ってきたドライバーリクルーティングノウハウや全国ネットワーク、テクノロジー基盤を引き継ぎながらも、GOジョブはより専門性の高いドライバー人材市場へのアプローチを強化するかたちで分社独立した。現在はタクシードライバーのみならず、トラック運転手、観光・路線バス運転士、建設機械オペレーターなど、多様なドライバー職種に対応した採用支援を展開しており、求職者と企業を効率的にマッチングする独自のシステムを開発・運用している。
今回の調達資金は、主にプロダクト開発および営業体制の強化に充てられる予定だという。具体的には、求人掲載から選考、採用後の定着支援に至るまでのフルファネル型支援体制の構築を進めるとともに、SaaS型採用支援ツールの開発、既存事業の全国展開、人材マッチングアルゴリズムの高度化などが想定されている。また、物流・交通インフラを支える中小企業との提携拡大にも注力していく構えだ。
フォースタートアップスは、特定領域における専門性を持つ人材やスタートアップ支援に強みを持つベンチャーキャピタルであり、GOジョブが目指す「産業構造を支える人材基盤の変革」に共鳴したかたちでの出資となる。一方、未来創生3号やSBIレオスひふみといった機関投資家の参加は、より広範な社会課題解決型スタートアップへの注目が高まっている証左ともいえる。
背景には、物流・運輸業界におけるドライバー不足の深刻化がある。少子高齢化や働き方改革による労働時間規制の影響で、慢性的な人材難が続く中、2024年4月からの「2024年問題」(働き方改革関連法による時間外労働の上限規制)により、特に中小物流企業では新規採用の難易度が急激に上昇している。こうした現状に対し、GOジョブは「現場起点」のプロダクト設計とデータに基づくマッチング支援によって、構造的な解決を図ろうとしている。
また、ドライバー職におけるキャリアパス構築や定着率向上にも注力しており、ミスマッチの低減を目指したマッチングアルゴリズムの改善や、面接から研修、配属後のフォローアップまでを一貫して支援する体制も整備中とされる。これは単なる人材紹介にとどまらず、インフラ業界の持続可能性を支える基盤づくりという、より大きな社会的役割を見据えた取り組みともいえる。
ドライバーという職業の価値を再定義し、人材供給の課題を根本から解決する──。GOジョブの挑戦は、今後ますます重要度を増す物流・交通インフラの未来を左右することになるだろう。