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トランプ政権が日韓製品に25%の関税発表 米中に続き供給網再編の波

2025年7月7日に、米トランプ政権は日本と韓国からの輸入品に対して一律25%の関税を課すと正式に発表した。関税措置の対象品目や発効時期は現時点で詳細が明らかにされていないものの、完成品や部品の多くが影響を受ける可能性が高く、両国の製造業を中心に緊張が走っている。

トランプ前大統領は2025年1月に再び大統領の座に返り咲いて以降、「アメリカ第一」を掲げた貿易政策の復活を示唆していた。今回の関税措置はその延長線上にあると見られ、かつての米中貿易戦争に続く「新たな通商戦争」の幕開けとも捉えられている。

対象となる日本企業にとっては、北米市場における価格競争力の低下は避けられず、自動車や電子部品、工作機械などを主力とする輸出産業への打撃が懸念される。とりわけ完成車や高機能素材といった、日本が優位性を持つ分野が含まれる場合、影響は数兆円規模に及ぶとの試算もある。

これに先立ち、TOTOやアルプスアルパインなど日本の製造業各社は、トランプ政権の再登場を見越して「グローバル生産の分散化」や「米国内での最終組み立て」の強化を進めてきたが、今回の関税措置が本格的に施行されることで、こうした対応を一段と加速させる動きが広がりそうだ。企業によってはメキシコや東南アジアなど、米国とのFTA枠組みがある国への移管も検討対象に入りつつある。

一方、韓国政府は直ちに米国側に抗議を表明し、WTO提訴の可能性も示唆している。日本政府も同日、外務省と経産省を中心に対応会議を開き、今後の外交ルートでの交渉に乗り出す構えを見せた。関税措置がWTOルールに則っていないと判断される場合、日本政府は是正を求めて公式に提訴する可能性もある。

市場では今回の発表を受けて、日本の自動車株や電機株が一時大きく下落。為替市場でもリスク回避の動きが進み、円高ドル安が進行した。アナリストの間では「一時的なショックよりも、企業の中長期戦略がどこまで柔軟に対応できるかが問われる」との声も上がっており、サプライチェーン再構築の動きがより加速することが予測されている。

また、この動きは日本企業のみならず、グローバルな製造業全体に波及する可能性もある。部品単位での組立が国境を越えて行われる現代の製造モデルにおいて、特定国への関税がかかるだけで全体のコストや納期に影響が出る構造になっており、サプライチェーン全体の見直しが各国企業に求められる局面に入った。

今回の関税措置がどの程度長期化するのかは不透明であるものの、トランプ政権の動向次第では、日本企業にとって「北米生産の内製化」「新たなFTA圏内での生産拠点構築」「最終消費地との近接化」など、戦略の再構築が避けられない。日系メーカーにとっては単なるコスト対応ではなく、事業継続と成長の両立を見据えた地政学リスク対応力が、これまで以上に問われることになりそうだ。