イムノロックがビフィズス菌を用いたがん経口ワクチンの開発へ向け1.84億円を調達

神戸大学発のスタートアップのイムノロック株式会社が、2025年7月18日に、プレシリーズAラウンドで総額1.84億円の資金調達実施を発表した。引受先にはBeyond Next Ventures、SMBCベンチャーキャピタル、みなとキャピタル、みやこキャピタルが名を連ねる。
イムノロックは、ビフィズス菌を活用した経口がんワクチンプラットフォームの開発を進めるバイオテック企業。経口投与により免疫応答を誘導するワクチン技術を中核とし、これまでに第I相臨床試験を完了している。同社は今回の資金をもとに、非臨床試験および第II相臨床試験に向けた開発体制の強化を図るとともに、製剤のスケールアップや知財戦略の加速にも取り組む方針だ。
この経口がんワクチンは、乳がんや膵がんを含む固形がんに対して、新たな治療選択肢となることを目指している。特に注目されるのは、従来の注射型ワクチンではなく、腸内環境を介して免疫系に働きかけるという新たなアプローチだ。患者の負担軽減に寄与する可能性も高く、今後の臨床試験の進展が期待されている。
また、開発プラットフォームには神戸大学大学院医学研究科との共同研究成果が活かされており、大学発の知見を社会実装へとつなげるモデルケースとしても注目を集める。イムノロックは、今後複数のがん種に対応する製剤ラインナップの構築も視野に入れており、パイプライン拡充も並行して進めていくという。
Beyond Next Venturesの担当者は今回の出資について、「がん免疫治療の中でも経口ワクチンというユニークな切り口に強い可能性を感じた。将来的には国内外のがん治療市場で大きな存在感を放つ企業になると確信している」とコメントしている。
バイオテック領域においても、従来型の治療法にとらわれないスタートアップの挑戦が加速する中、イムノロックのような研究開発型ベンチャーの動向は今後も注視されそうだ。