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手術支援のSDPジャパンがシリーズDで24億円調達全国展開と医療改革を推進

手術支援プラットフォームを展開するSDPジャパン株式会社が、2025年7月3日にシリーズDラウンドにおいて総額24億円の資金調達を実施したと発表。今回のラウンドにはグロービス・キャピタル・パートナーズやINCJ、ジャフコ グループをはじめとする既存・新規投資家が参加。資金は人材採用の強化と全国展開の加速、さらには医療現場における構造的課題の解決に活用される予定だという。

SDPジャパンは、手術の質と安全性を向上させるためのデジタル手術支援プラットフォームを開発・提供している医療系スタートアップだ。手術室内の映像データをリアルタイムで収集・解析し、術中の判断支援や術後の教育・分析に役立てるクラウドベースのシステムを構築。特に技術の属人化や指導体制の地域格差といった日本の医療課題に対し、テクノロジーを通じて再現性のある教育・診療体制の構築を目指している。2020年代初頭から大学病院や地域中核病院への導入が進み、現在では多数の臨床現場で活用されている。

今回の資金調達によって、同社は全国レベルでの導入拡大を見据えた営業・導入支援体制の強化を進める。また、手術室データの利活用を通じた医療教育や病院経営のDX支援にも注力し、医療業界全体の持続可能性向上に貢献する構えだ。さらに、慢性的な医師不足や医療の地域偏在といった構造課題に対しても、データ駆動型のアプローチによって解決の糸口を提示していくという。

プラットフォームには手術映像の記録・共有機能だけでなく、AIによる手術動作の解析、チェックリスト管理、術後レビューのサポート機能などが統合されており、医療チーム全体の連携やナレッジの継承を促進。特に若手外科医の技術習得支援や医療訴訟リスクの低減といった効果が期待されている。

同社代表取締役の谷口洋平氏は、「手術という極めて繊細な現場においても、科学的かつ再現性のある医療を届けるためには、現場の暗黙知を見える化し、継承可能な形にすることが不可欠。今回の調達は、そのための大きな一歩になる」とコメントしている。

日本国内では、超高齢社会の進展により手術件数は増加傾向にある一方、指導医や看護師の人材確保が難しくなっている。また、都市部と地方での医療格差も顕在化しており、医療の質と量を両立する新たな仕組みが求められている。そうした中で、SDPジャパンの取り組みは、医療の未来を再構築する新たな道を示しているようだ。

今回の資金調達を機に、同社は医療現場の“手術の可視化”と“標準化”をさらに推進し、持続可能で質の高い医療体制の実現を目指す。今後の展開が、国内外の医療界から大きな関心を集める可能性も高まっている。