リンクメッドがシリーズBで35.5億円を調達し放射性医薬品開発を加速

放射性医薬品の研究開発を手がけるリンクメッドが、シリーズBラウンドで総額35億5,000万円の資金調達を実施したと発表。今回のラウンドには、既存投資家に加え、新たな機関投資家も参加しているという。調達資金は、主力パイプラインの開発加速および製造体制の強化に充てられる見込みのようだ。
リンクメッドは、がんやその他の疾患に対する新たな治療オプションとして、放射性医薬品(ラジオファーマシューティカルズ)の開発に取り組んでいる企業である。放射性同位元素を用いて病変部を狙い撃ちする「ターゲティング治療」の領域で高い技術力を持ち、診断薬と治療薬の一体開発(Theranostics)にも注力している。これにより、従来の医薬品では対応が難しかった疾患へのアプローチが可能になると期待されている。
今回の資金調達によって、リンクメッドは複数のパイプラインの臨床開発をさらに推進する方針だという。特に、同社が注力するがん治療用放射性医薬品は、国内外で急速に需要が高まっており、今後の成長が期待されている分野である。調達資金の一部は、GMP(Good Manufacturing Practice)に準拠した製造施設の拡充にも投じられ、スケールアップに向けた基盤整備が進められる見通しだ。
リンクメッドの代表取締役である吉井 幸恵氏は、今回の資金調達に際し次のようにコメントしている。「放射性医薬品は、がんなどの治療において新たな希望をもたらす重要な技術です。今回の資金調達を通じて、患者さんに一日でも早く治療を届けるための開発スピードを一層高めてまいります」
また、投資家サイドからも、リンクメッドの技術力と市場ポテンシャルに対する期待が寄せられている。今回新たに参加したベンチャーキャピタルの関係者は、「放射性医薬品市場は世界的に成長が著しい領域であり、リンクメッドはその中でも独自のポジションを確立しつつある」と述べている。
放射性医薬品は、従来のがん治療と比較して副作用が少なく、標的部位に高精度で作用できる点が評価されており、近年は欧米を中心に開発・承認の動きが加速している。日本国内においても、革新的な新薬へのニーズは高く、リンクメッドの取り組みは今後さらに注目を集めるものとみられる。
今回のシリーズBラウンドを経て、リンクメッドは次なる成長フェーズに突入する。国内外の提携先拡大や、グローバル市場への進出も視野に入れているといい、医療の未来を切り拓く存在として一層の飛躍が期待される。