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製造業DXのキャディがシリーズCエクステンションで91億円を調達

製造業向けにAIデータプラットフォーム「CADDi(キャディ)」を展開するキャディが、シリーズCエクステンションラウンドにおいて総額91億円の資金調達を実施したと発表。これにより、同社の累計エクイティ調達額は257億3,000万円に達したという。

今回の調達は、製造業の変革を推進するための基盤強化を目的としており、調達資金はAI技術の研究開発、プロダクト機能の拡充、及び海外市場への事業展開に活用される予定だという。これまで日本国内を中心に展開してきた同社だが、今後はアジア、北米、欧州といったグローバル市場に対する戦略的投資も視野に入れているようだ。

キャディは、製造業のバリューチェーンに散在する非構造化データを統合・解析し、意思決定と生産性を飛躍的に向上させる「CADDi Manufacturing」や「CADDi Drawer」といったプロダクトを展開している。同社の強みは、製造図面や見積データといった複雑でアナログな情報を、AIを用いてデジタル化・構造化する技術にあるという。

これまで製造業界では、個社最適や属人的なノウハウが多く、業界全体での生産性向上が課題とされてきた。その中で、キャディはAIとデータサイエンスを用いて、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を現実のものとしてきた。今回の資金調達により、同社はさらにその技術の汎用性を高め、業界横断的なソリューションの提供を目指すとしている。また、調達に際しては、既存投資家に加え、新規投資家の参画もあったとされ、事業の将来性に対する期待が市場でも高まっている様子がうかがえる。AIと製造業という一見相反する領域を掛け合わせることで、同社は業界の構造変革に挑んでおり、今後の展開が注目されている。

同社は今後、さらなるエンジニアリングチェーンの最適化、製造業における“データの民主化”を推し進める方針だ。国内のみならず、グローバルな製造業プレイヤーに対しても価値提供を拡大していくという。
今回の資金調達は、キャディの持つテクノロジーが今後の産業構造をどう変えていくのか、その一端を示す出来事となったようだ。