カミナシが工場設備保全の記録・管理をスマホで完結。報告作業を効率化
工場などの現場での帳簿入力の電子化ソフトを手がけるカミナシが3日、工場設備の保全内容の記録をクラウド上で一元管理するソフトの発売を発表した。スマートフォンによって報告作業を効率化し、集積したデータで故障の傾向を見える化できるという。生産設備を多く抱えるメーカーの需要を狙う。

カミナシとは、2016/12 に創業した、「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」をミッションに掲げるスタートアップ企業だ。カミナシは、ホリゾンタルSaaSの現場DXプラットフォームを提供している。 PCやデスクのない現場で働く約3,900万人のノンデスクワーカーの働き方を、現場のムダを削減し利益を生む現場づくりを実現する「現場DXプラットフォーム」で解決していくという。 2023年3月にシリーズBで約30億円の資金調達を行い、カミナシはオールインワンSaaSとして、現場のEmployeeやCommunication領域のDXに拡大を目指している。
同日開いた発表会で新製品を公開した。設備異常の発生時に現場の作業員が社内に報告したり、保全担当者が対応内容を記録したりする用途などに使い、パソコンとスマホで利用できるという。
ソフトと連動した専用のQRコードを設備と結び付けることで、1台ごとに保全状況を管理する。スマホのカメラでコードを読み取ると、対象設備の報告画面が表示される。「異音」や「油や蒸気漏れ」といった当てはまる不具合の種類を複数選べて、撮影した設備の写真も添付できるのだ。
現場からの報告や日々の点検結果をもとに、保全担当者は詳細な修理内容を入力する。故障のレベルに加え、「未着手」や「完了」といった対応状況も共有でき、利用する企業は設備の更新や保全計画の見直しといった判断に役立てるとのこと。
保全業務は担当者の経験や知見に頼ることが多いので、情報も書類や表計算ソフトで共有されることが多く効率化が進んでいない。カミナシの最高執行責任者 河内佑介氏は、「設備の老朽化や技術者不足が広がるなかデジタル化の需要は大きい」と述べる。
2030年6月までに全国の製造設備10万台への導入を目指すようだ。今後、修理に使う部品の在庫を管理する新機能も開発する予定だという。