Googleが米国防総省の次世代AIプロジェクトに参画──最大310億円規模の契約へ

Googleが米国防総省とAI領域での連携を拡大するという。2025年7月14日に、米国防総省のCDAO(Chief Digital and Artificial Intelligence Office)は、グーグルを含む米テクノロジー企業4社と、それぞれ最大2億ドル(約310億円)規模の契約を締結したと発表した。対象企業はグーグルのほか、OpenAI、Anthropic、そしてイーロン・マスク氏が率いるxAIとなっている。
今回の契約は「フロンティアAI」と呼ばれる最先端AIモデルを、軍事や防衛分野で活用することを目的としており、情報分析や作戦支援、意思決定プロセスの迅速化を支援する構想だという。各社はCDAOが進めるAIエージェント開発プロジェクトに参加し、商用AIの軍事応用について実証と導入を進める。
グーグルはクラウド基盤と独自開発のTPU(Tensor Processing Unit)を活用し、DoD(米国防総省)のエアギャップ型AIプラットフォーム構築を担う見通し。OpenAIはすでに6月に契約を開始しており、同社のモデルを活用した業務支援のプロトタイプ開発が進行中とされる。Anthropicは安全性を重視したAI設計で評価されており、xAIは政府専用モデル「Grok for Government」の提供に乗り出すという。
CDAOのダグ・マッティ氏は、「商用グレードのAI技術を適切に統合することで、国家防衛における即応性と精度が格段に高まる」と述べている。契約は成果に応じて段階的に支払われる形式で、今後数年にわたり順次成果の検証が行われる。
民間AI企業の軍事分野参入は、技術革新の加速とともに倫理的な議論も伴う。とりわけAIの自律性や偏りの問題に対する透明性の確保と、安全保障とのバランスが引き続き問われていくことになりそうだ。