クロス・マーケティングがインフルエンサー事業を拡充しネクストレンド事業譲受で体制強化

マーケティングリサーチを手がける株式会社クロス・マーケティングが、インフルエンサー事業の本格拡張に乗り出した。2025年6月24日に、グループ会社の株式会社ネクストレンドが展開するインフルエンサー関連事業を譲受すると発表。これにより、年間3,000件規模のプロモーション施策に対応できる体制を構築し、収益基盤をさらに強化する構えだ。
クロス・マーケティングは、消費者インサイトを軸にしたマーケティングリサーチやデータ分析を手がける企業。クライアントのブランド戦略やプロダクト開発に貢献する調査・分析ソリューションを提供しており、東証プライム上場のマーケティングホールディングス「クロス・マーケティンググループ株式会社」の中核企業としても知られる。
今回譲受するネクストレンドの事業は、インフルエンサーを活用したSNSプロモーションの企画・運用支援を主軸とするもの。これまで数多くの企業のInstagram・X・TikTokなどにおける投稿型施策を実施してきた実績を持ち、特にライフスタイル領域や美容系インフルエンサーとの連携に強みを持っている。今回の譲受により、クロス・マーケティングが保有するマーケティングリサーチとの相乗効果が期待されている。
さらに、クロス・マーケティングはすでにグループ傘下に置くインフルエンサー・マーケティング支援企業「株式会社REECH」との連携を深めることで、運用体制の高度化を目指す。REECHは、データドリブンなキャスティングやレポーティング機能に定評があり、企業のプロモーション支援において精度と再現性を両立させた運用が可能となる。
同社では、調査・分析からインフルエンサー施策、さらに効果検証までを一気通貫で対応可能なマーケティングソリューションの拡充に注力する姿勢を示している。これにより、単発的なPR施策ではなく、継続的なブランド価値向上につながる提案が可能となるという。
背景には、企業のマーケティング手法が従来の広告運用から、より生活者との“共感”を重視するコミュニケーション設計へとシフトしているという潮流がある。特にSNSを活用したインフルエンサー施策は、認知獲得だけでなく購買行動やロイヤリティ向上にも直結しやすく、BtoCブランドを中心にその重要性が年々高まっている。
クロス・マーケティングでは今回の譲受を機に、今後さらに多様な業界・企業への支援を拡大していく方針だという。マーケティング領域における包括的な支援体制を強化することで、変化の激しい市場環境にも柔軟に対応できる競争力を備えることを目指す。
インフルエンサー施策のプロフェッショナル集団を内包することで、データに基づいた戦略設計と実行力の両輪を手にしたクロス・マーケティング。その事業進化の動向は、今後のマーケティング産業の行方を占う上でも重要な一手となりそうだ。