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電通博報堂など7社に五輪談合で排除命令企業統治と透明性が問われる処分に

2025年6月23日に、公正取引委員会は、東京五輪・パラリンピックに関する業務委託契約での談合を巡り、広告大手を含む計7社に対して独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、排除措置命令および総額約33億円の課徴金納付命令を出した。対象企業には、電通グループや博報堂、東急エージェンシーなど、イベント運営に関与していた複数の広告代理店が含まれている。

本件は、2018年から19年にかけて実施されたテスト大会および本大会の委託業務において、事前に受注予定者を調整し、談合的な入札が行われていたというもの。契約総額はおよそ437億円にのぼり、対象となったのは大会運営や会場設営といった広範な業務だ。公正取引委員会は、各社が受注機会や内容を事前に調整し合うことで、公正な競争を阻害したと判断している。

排除措置命令の対象企業は、電通グループ、博報堂、東急エージェンシー、セレスポ、セイムトゥー、フジクリエイティブコーポレーションの6社に加え、自主申告により課徴金が免除されたADKマーケティング・ソリューションズを含む計7社。課徴金の納付命令は、免除されたADKを除く6社に対し計33億7200万円が課される見通しとなっている。

一部企業はこれに反発しており、電通グループは「処分には看過できない点がある」として、命令の取り消しを求める訴訟を起こす構えを見せている。他の対象企業も、個別に見解を公表。中には再発防止策を強化する旨を表明する動きも見られる。

五輪という国際的な公共イベントにおいて、こうした大規模な談合が行われていたことは、企業の社会的責任(CSR)やガバナンス体制への信頼性に大きな影響を与える出来事となった。公共性の高いプロジェクトにおいては、競争の透明性と公平性が改めて問われている。

今回の処分は、企業コンプライアンスの在り方や、不正防止の内部統制強化に対する警鐘とも受け取れる。広告業界に限らず、各企業にとってはガバナンス体制の見直しが喫緊の課題となるだろう。社会的な期待が高まるなかで、持続可能な事業運営と倫理的な企業行動が、今後一層求められていく。