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“働き方”から“お金の哲学”へ──フリーランスが描く新しい経済観

※本記事はフリーランスジョブ「フリーランスの投資実態とお金の使い道」をもとに構成しています。
URL:https://freelance-job.com/contents/news/research/75

株式会社Hajimariが実施した「フリーランスの投資実態とお金の使い道」に関する調査により、フリーランスの資産運用への関心が年々高まっている実態が浮き彫りとなった。調査対象は20代から50代までのフリーランス394名。働き方の多様化とともに、ライフスタイルやお金の使い道にも変化が表れているようだ。

全体のうち、何らかの資産運用を行っていると回答したフリーランスは53.8%。半数を超える割合で投資に取り組んでいることが分かった。中でも20代に限るとその割合は7割を超え、若年層の投資への意識の高さが際立っている。フリーランスは将来の収入が不安定になりやすいという特性があるが、早い段階から資産形成に目を向けている姿勢は注目に値する。

月々の投資額としては「1万〜3万円未満」が最多。堅実な範囲で資産形成を進める層が多い一方、20代の一部では月に10万円以上を投資に充てている例もあり、リスクを取りながら高いリターンを目指す姿勢もうかがえる。主な投資先としては、「つみたてNISA」「一般NISA」「iDeCo」「日本株」が上位に並ぶ一方で、20代では「米国株」や「米国ETF」といった海外資産への投資が比較的多く、情報感度の高さと将来のグローバル市場を見据えた投資戦略が垣間見える。

一方、資産運用に消極的な層の理由としては、「何から始めていいか分からない」「投資に対して不安がある」といった声が挙げられており、金融リテラシーや初期学習の機会不足が背景にあるようだ。フリーランスは日々の業務に追われがちな一方で、自ら情報を取りに行かない限り金融知識を得る場が少なく、今後はそのギャップを埋めるような支援や教育が求められるだろう。

調査では、収入に関するデータも公開されている。月収20万円以下の層が全体の約47%を占めている一方で、月60万円以上を稼ぐフリーランスも7.8%存在しており、収入分布は広範にわたる。さらに年収で見ると、全体の約15%が600万円以上を稼いでいる。20代に限定すると41%が年収500万円以上という結果が示され、若手フリーランスの中でも高い収益力を持つ層が一定数いることが分かる。50代では「200万円未満」と「800万円以上」に集中する傾向があり、経験年数や業種の違いによる収入の二極化が顕著となっている。

興味深いのは、「直近半年間の大きな買い物」に関する設問への回答だ。「何も買っていない」という回答が最多となり、ついで「旅行」「趣味関連」と続いた。物価上昇や将来への不安から、消費を抑える傾向が強まっており、生活必需品以外の出費は控え、その分を投資に回すという選択がなされていることがうかがえる。こうした行動は、単なる倹約ではなく、自身の資産を育てる意識の現れとも捉えられるだろう。

今回の調査結果からは、フリーランスという働き方が「自由な生き方」の象徴であると同時に、自らの将来設計を積極的に描く必要がある生き方であることが改めて示された。特に若年層においては、金融情報への感度が高く、将来を見据えた行動を早期に開始する傾向が顕著だ。一方で、一定の年代層では金融リテラシーの差や投資への不安が根強く残っており、年代ごとのアプローチを変えたサポート体制の必要性も浮き彫りになっている。

働き方が変われば、お金の使い方も変わる。単に収入を得るだけではなく、それをどう使い、どのように守り、どのように増やしていくか。フリーランスという選択をした人々にとって、資産運用はもはや「特別な選択肢」ではなく、「生活の一部」へと変わり始めているようだ。未来への備えは、日々の行動から始まっている。