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電脳交通が「電脳コネクト」展開で事業者の包括支援を本格化

タクシー業界における構造的課題の解決に向け、ITの力で支援を進めるスタートアップ・株式会社電脳交通が、タクシー事業者向け経営支援サービス「電脳コネクト」の提供を本格化している。これまで配車クラウドシステムの提供を軸に展開してきた同社だが、昨今は人手不足や車両調達、業務管理といった広範な課題に対応するソリューション群を一元化し、タクシー事業者にとっての「経営インフラ」としての立ち位置を強化している。

電脳交通は2015年に徳島県で創業。全国のタクシー会社の業務効率化を支援するクラウド配車システムを提供しており、これまでにシリーズCまで複数回の資金調達を実施。KDDIやJR西日本イノベーションズなどが出資していることでも注目される。地域の交通インフラ維持という社会課題に対し、テクノロジーを用いて持続可能な解決策を提示してきた実績を持つ。
「電脳コネクト」は、配車支援機能にとどまらず、労務管理、業務効率化ツール、車両の調達・運行管理、さらには採用支援までをワンストップで提供するSaaS型のサービス。高齢化や人材不足が進行する地域交通事業者の実情に寄り添い、現場起点での課題解決を志向している点が特徴だという。

同社はこれまでに、全国300以上のタクシー事業者にサービスを提供してきた実績を有し、特に地方の中小事業者からの支持が厚い。地方都市ではドライバーの高齢化や採用難に加え、業務オペレーションの属人化が深刻な課題となっている。こうした背景を踏まえ、「電脳コネクト」では人材管理や業務フローの可視化を通じて、経営の標準化・再現性の確保を後押しする仕組みを整えているという。

たとえば、ドライバーの出退勤記録や運行スケジュールを自動で管理できる機能により、事務負担を軽減しつつ法令遵守も支援。また、車両のリース・購入・保険手配までを一括管理するオプション機能により、資金繰りや車両戦略の最適化も可能になる。
加えて、同社ではタクシー業界の人材流動性の低さを受け、採用支援にも注力。求人媒体との連携や応募者管理機能を備え、従来の紹介頼みの採用活動から脱却できる仕組みを目指しているという。

同社は今後、「電脳コネクト」のサービスラインアップ拡充とともに、全国展開の加速を視野に入れる。タクシー事業者の経営に深く入り込み、単なるITベンダーを超えた“経営パートナー”としての存在感を高めていく構えだ。