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Parameが子ども向け施設での“生成AI接客”が本格始動

Parameが、子ども向け職業・社会体験施設「キッザニア」と共同で、生成AIを活用した「キッザニアAIコンシェルジュ」の実証実験を開始した。Parameが開発・提供する「Nagisa AI Engine」をベースに、施設内での来場者向け案内をAIが担うことで、施設体験の質の向上を目指すという。

今回の実証実験では、生成AIによる自然な対話を通じて、来場者の疑問にリアルタイムで応答する案内システムを実装。たとえば「今すぐ体験できるパビリオンは?」「空いている職業体験はどこ?」といった質問に対して、AIコンシェルジュが即座に返答。施設を訪れる子どもたちや保護者にとって、よりスムーズでストレスの少ない体験導線を提供することを狙いとしている。

従来のキッザニアでは、サイネージや紙のパンフレットによる情報提供が中心であったが、実時間での混雑状況や回遊状況などに応じた“柔軟な案内”は難しかった。一方で、生成AIを用いたコンシェルジュは、対話履歴や施設内のリアルタイム情報と連動しながら、個々の来場者に応じたパーソナライズされた対応が可能になる。

Parameが展開する「Nagisa AI Engine」は、自然言語処理技術とカスタマイズ性を特徴とする独自のエンジンであり、すでに教育機関や商業施設などでも導入実績を持つ。今回のプロジェクトでは、キッザニアの来場者層や施設特性に最適化された対話設計が施されており、子どもでも理解しやすく、親しみやすい対話体験を意識した構成となっている。

また、今回のAIコンシェルジュは単なる「施設案内」にとどまらず、将来的には来場者の質問傾向や行動ログなどをもとにしたデータ分析の活用も視野に入れている。蓄積されたデータは、混雑緩和施策の立案や施設内オペレーションの最適化など、運営側の意思決定支援にもつながる可能性があるという。
今回の取り組みはまず一部施設・期間限定での実証実験としてスタートしており、今後の展開については利用状況やユーザーからのフィードバックをもとに本格導入を検討していく方針とのこと。

生成AIの社会実装が進むなか、エンターテインメントや教育分野におけるユースケースはまだ黎明期にある。子どもたちの学びと遊びが融合する「キッザニア」という場で、生成AIがどのような役割を果たすのか。今回の実験は、技術と体験が融合する未来のヒントを与える取り組みとなりそうだ。