AIキャピタリスト「ANOくん」がローンチから2週間で面談件数50件を突破

スタートアップへの投資・育成を手がけるANOBAKAが開発したAIキャピタリスト「ANOくん」が、ローンチからわずか2週間で面談件数50件を突破したという。これは、スタートアップ業界における生成AI活用の新たな可能性を示す事例として注目されている。
ANOBAKAとは、2015年10月に設立された独立系ベンチャーキャピタルだ。シード期およびアーリーステージのスタートアップ企業への投資と支援に特化しており、これまでに累計160社以上のスタートアップに投資を行っている。
「ANOくん」は、起業家との面談に特化したAIチャットボットで、ANOBAKAが2025年4月上旬に正式リリースしたプロダクトだ。起業家は、ANOBAKAの公式Webサイトや特設ページを通じて「ANOくん」と会話を始めることができ、事業アイデアの概要や課題感、成長戦略などを対話形式で入力していくと、AIが内容を整理し、必要に応じて実際のキャピタリストとの面談日程を提案してくれる仕組みとなっている。
同社によると、「ANOくん」はChatGPTなどの生成AI技術をベースに開発されており、過去のピッチデッキや投資検討の観点などANOBAKA独自の知見が反映されているという。実際のキャピタリストの対応負荷を軽減しつつ、より多くの起業家との出会いを創出することを目的としているようだ。
今回、ローンチからわずか2週間という短期間で50件以上の面談につながった背景には、AIによる柔軟な対応力と、面談に至るまでの心理的ハードルの低さがあると見られる。対面やオンラインでの初回接触に不安を覚える起業家にとって、「まずはAIと話してみる」という入り口が提供されることで、資金調達や事業相談に対する敷居が下がった形だ。また、「ANOくん」から実際のキャピタリストとの面談に進んだ起業家の多くは、すでにプロダクトを開発中あるいはローンチ済みのシード段階にあるスタートアップであり、同社の投資方針とも一致している点も興味深い。
ANOBAKAは今回の実績を受け、「ANOくん」の機能改善と対応範囲の拡大を予定しており、今後はより複雑な資金調達スキームへの対応や、海外スタートアップとの面談にも応用していく可能性があるという。また、将来的には「ANOくん」が投資判断補助の一部を担う構想も視野に入れているとされ、スタートアップ投資におけるAI活用のさらなる進化が期待されている。
生成AIの活用が進む中で、VC業界でも業務効率化やコミュニケーションの変革が求められている。「ANOくん」は、単なる業務支援ツールにとどまらず、VCと起業家の関係性そのものを再定義する存在として注目され始めているようだ。ANOBAKAによる今後の展開にも注目が集まる。