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AcompanyがシリーズBで11億円を調達し開発体制を強化

サイバーセキュリティ領域で革新的な技術開発を進めるAcompanyが、シリーズBラウンドで総額11億円の資金調達を実施した。引受先には、SBIインベストメント、グロービス・キャピタル・パートナーズ、ANOBAKA、DEEPCORE、みずほキャピタル、静岡キャピタルなどが名を連ねている。今回の調達により、同社は主力領域である「秘密計算技術」を活用したデータ利活用基盤の開発体制を強化し、安全かつ柔軟なデータ連携の実現に向けた取り組みを加速する構えだという。

Acompanyとは、サイバーセキュリティとプライバシー保護を両立する「秘密計算」の技術を軸に、機密性の高いデータを他者と共有することなく利活用可能にするソリューションを提供するスタートアップである。2021年の創業以来、自治体や大手企業との共同実証を通じて技術の信頼性を確立し、医療、金融、マーケティング分野を中心に導入が進む。機密データの安全な分析・連携を可能にする社会インフラを目指して、サービスの社会実装を推進している。

今回の資金調達により、秘密計算を用いたプラットフォーム「AutoPrivacy」のプロダクト開発や人材採用、マーケティング活動が一層強化される予定だという。AutoPrivacyは、異なる組織間でのデータ分析やAI活用を、安全に実現できる環境を提供するもので、すでに複数の企業や自治体での導入が進んでいる。

Acompanyが注力する秘密計算技術は、データを暗号化したまま演算処理を行えることから、従来の「秘匿性と利便性はトレードオフ」という常識を覆す可能性を持つ。特に、複数組織間での協調分析や機械学習モデルの共同トレーニングといった場面での活用が期待されており、次世代のプライバシーテック領域として注目が高まっている。

創業以来のビジョンである「プライバシーが守られる社会の実現」に向けて、Acompanyはさらなる成長フェーズへと舵を切ることになる。セキュリティとデータ活用の両立という社会的命題に対し、技術でどう応えていくのか。その挑戦が、いま本格化しようとしている。