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バイエル薬品、2025年売上は1,991億円。主力3製品と開発3製品への注力で日本市場のさらなる成長を狙う

バイエル薬品株式会社は主要製品の最新動向や開発パイプラインの進展、直近のマイルストーンについて発表した。心・腎・代謝、オンコロジー、眼科という注力3領域において、わずか数ヶ月の間に4件の新たな薬事承認を取得。主力製品はいずれも市場平均を大きく上回る成長率を記録し、同社の勢いが確かに加速している。

代表が強調する使命「患者さん、患者さん、そして患者さん」

「私たちの使命はシンプルです。患者さん、患者さん、そして患者さん——それだけです」

「日本の患者さんにできるだけ早くイノベーションを届けること。アンメットメディカルニーズに応える革新的な治療を届けること。そのために必要なのは、科学への情熱、日本という国へのコミットメント、そして患者さんへの責任です」

こう言葉を切り出したのは、バイエル薬品株式会社の代表取締役社長、アシュラフ・アルオウフ氏だ。

アルオウフ氏は2017年から2019年まで循環器領域の責任者として神戸に駐在した経験を持ち、「日本は第二の故郷」と語る。昨年9月に代表取締役社長に就任して以来、同氏が繰り返し強調してきたのが、意思決定のスピードと組織の機動力だ。

「アジャイルな組織運営を通じて、本当に重要なことに必要なリソースをダイナミックに集中させる。患者さんにインパクトを与えることとイノベーションを生み出すことに最も価値を置いている」と語り、組織文化そのものを変えていく姿勢を鮮明にした。

日本はバイエル薬品にとって世界トップ5市場のひとつであり、100年以上にわたり事業を展開してきた重要な拠点だ。東京・大阪の二大拠点に加え、滋賀には製造拠点も構える。「日本で研究開発を行い、日本で生産し、日本の患者さんにイノベーションを届ける」その言葉に、バイエル薬品の日本へのコミットメントが凝縮されている。

2025年は1,991億円、主力3製品が売上を牽引

2025年のバイエル薬品の売上高は1,991億円(薬価ベース)。その成長を力強く牽引したのが、注力3領域における主力製品だ。心・腎・代謝領域の「ケレンディア®」は前年比80%増、オンコロジー領域の「ニュベクオ®」は同36%増、眼科領域の「アイリーア® 8mg」は同130%増を記録した。

成長の背景には、それぞれの製品が持つ明確な患者価値がある。「ケレンディア®」は患者数の増加とアクセス拡大が寄与し、「ニュベクオ®」は前立腺がん領域でのマーケットリーダーとしての地位をさらに固めた。「アイリーア® 8mg」については「大きなアンメットメディカルニーズがあった」とアルオウフ氏が強調するように、高い有効性・安全性に加え、注射間隔を延ばせるという特長が患者・家族・医療現場の三者にとっての負担軽減につながっている点が評価されている。

注目すべきは、この成長が一過性ではないという点だ。3製品はいずれも直近数ヶ月のうちにさらなる適応追加承認を取得しており、今後も成長余地を着実に広げている。

さらに、MRI造影剤「アムベルビスト®」が、世界に先駆けて日本で製造販売承認を取得した。既存製品と比較してガドリニウム使用量を40〜60%削減しながら、同等の高い診断性能を実現するという画期的な製剤だ。日本では年間約2,000万件ものMRI検査が行われており、患者のガドリニウム曝露を大幅に低減できるこの製品の意義は大きい。「世界で最初に承認された国が日本であることを、大変誇りに思っている」とアルオウフ氏は語った。

主力3製品・開発3製品の「3+3」戦略でさらなる成長を見据える

日本市場の事業戦略について、現在の主力3製品と開発3製品の「3+3」と表現している。現在市場をリードする「ケレンディア®」「ニュベクオ®」「アイリーア® 8mg」の3製品に加え、近い将来の上市を見据えた3つの新製品「アスンデキシアン」「Aficamten」「セバベルチニブ」を軸にさらなる成長を狙う。

特に注目されるのが「アスンデキシアン」だ。「繰り返す脳卒中を対象とし、再発を減少させつつ、重大な出血リスクを増加させない薬剤」と説明している。脳卒中は日本に約130万人の患者が存在し再発率は20〜30%に上るため、その重要性は非常に大きい。

グローバルでも動きは加速している。バイエルの完全子会社であるAskBio社とBlueRock社が手がける遺伝子・細胞治療の候補製品3品目が、2025年12月に厚生労働省より「先駆的再生医療等製品」に指定された。

発表の締めくくりに、アルオウフ氏は、「私たちの意思は明確です。日本の患者さんに貢献すること。そして、最初であること、あるいは最高であること」と強調した。

「Health for all, Hunger for none(すべての人に健康を、飢餓をゼロに)」バイエル薬品が掲げるこのビジョンは、一つひとつの承認取得や開発への投資を積み重ねることで、着実に現実へと近づいている。高齢化が進む日本において、アンメットメディカルニーズに応え続けるバイエル薬品の挑戦から、今後も目が離せない。