2025年6月のスタートアップ資金調達ランキング発表

スタートアップの資金調達動向を可視化するプラットフォーム「STARTUP DB」が、2025年7月8日、同年6月の資金調達額ランキングを発表した。上位には医療・AI・手術支援といった成長分野を代表するスタートアップが並んでおり、ヘルスケアテックとディープテック領域への投資の厚みが浮き彫りになった。
STARTUP DBによれば、6月の資金調達額で首位となったのは、医療プラットフォーム「Musubi」を運営する株式会社カケハシ。同社はシリーズDラウンドで約140億円を調達し、ランキングで他社を大きく引き離した。ゴールドマン・サックスを筆頭に、グロービス・キャピタル・パートナーズ、DCM Ventures、STRIVEなどが出資を行っており、調達資金はプロダクトの高度化やM&A、人材採用などに充てられる予定だという。
カケハシは、薬局向けSaaSプロダクト「Musubi」などを通じて、調剤業務や薬歴作成の効率化、患者フォローの自動化などを進めてきた。業界の慢性的な人手不足や業務非効率といった課題を解消するソリューションとして注目されており、今後は医療DX領域でのより大きな存在感を視野に入れているようだ。
続く第2位には、ノーコードAIツール「FLUX AI」を展開する株式会社FLUXがランクインした。シリーズBラウンドの延長戦で総額約37.4億円を調達しており、累計調達額は100億円を突破。広告運用支援や採用マーケティング、レコメンドといったAIプロダクトを法人向けに幅広く提供している。
FLUXは、ノーコードでAIを活用できるUI/UX設計やプロダクトの柔軟性を強みとし、非エンジニアでも扱いやすいAI活用基盤の構築を推進してきた。国内大手メディアや小売企業との導入実績を積み重ねながら、SaaSビジネスとしての継続収益モデルも確立しつつある。今回の資金調達では、生成AIやLLMとの統合強化、グローバル展開の足がかりとしての技術投資が期待されている。
第3位に入ったのは、手術支援ロボットなどを手がけるSDPジャパン株式会社で、シリーズDラウンドで約24億円を調達した。同社は、術中の視野確保や操作支援を行うための画像処理技術やハードウェア開発に注力しており、今後は全国の医療機関との連携強化や専門人材の採用に資金を活用していくという。
医療分野の労働集約性や地方医療の人材偏在といった構造的課題に対して、SDPジャパンの技術は現場の即戦力として評価されつつある。特に、既存の手術支援システムよりも低コストかつ高精度で導入可能なソリューションであることが、医療機関側の導入ハードルを下げている点も見逃せない。
このように、6月の資金調達ランキング上位は、いずれも業界の課題解決を図るテクノロジードリブンな企業が占めた格好だ。医療現場の効率化から、企業のAI活用、手術技術の進化まで、多様な社会課題に対しテクノロジーを軸とするソリューションの投資価値が改めて浮き彫りとなった。今後も、各社が調達資金をどのように活用し、事業スケールを図っていくかが注目される。
出典元:
STARTUP DB 2025年6月資金調達ランキング(2025年7月8日発表)
https://startup-db.com/magazine/category/research/funding-ranking-202506