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FLUXがシリーズBエクステンションで37.4億円を調達

AI技術を活用したノーコードプロダクトを展開するFLUX株式会社は、2025年7月にシリーズBエクステンションラウンドにおいて総額37.4億円の資金調達を実施したことを発表した。これにより、同社の累計調達額は100億円を突破。日本国内のAIスタートアップの中でも上位に位置づけられる規模となった。

FLUXは「テクノロジーをすべての人が使いこなせる世界を実現する」ことを掲げ、ノーコードで高度なAI機能を扱えるプラットフォームを提供してきた企業だ。2018年の創業以来、主にWebサイト運営者向けに広告最適化を中心としたプロダクトを展開してきたが、近年はマーケティング支援や人材採用領域におけるAIプロダクトへと領域を広げている。

具体的には、マーケティングオートメーションの機能を持つ「AUTO Marketing」や、求人票の自動生成や応募者対応を支援する「AUTO HR」など、業務効率化と成果最大化を両立するAIツール群を提供。非エンジニアでも簡単に導入・活用できるUX設計が特徴で、既に国内の中小企業から大手企業まで、幅広いクライアントを抱える。

今回の調達では、既存投資家に加え、複数の新規投資家が参加したとされており、調達資金は主に以下の用途に充てられる見通しだ。1つ目は、プロダクトの開発体制強化。生成AIや自然言語処理分野の人材を中心に採用を加速させることで、AIモデルの高度化と汎用性向上を図る。2つ目は、マーケティング支援・人材採用支援領域における新規プロダクトの展開と顧客基盤の拡大。3つ目は、海外展開の準備とグローバル人材の採用などに向けた基盤整備だ。

FLUXは、2025年6月に公表された国内スタートアップ資金調達ランキングでも、調達額ベースで2位にランクイン。AI技術を中核に据えたSaaSスタートアップとして、引き続き高い評価を得ている。特に、プロダクトにおけるUI/UX設計と、ビジネス現場への導入ハードルを下げる工夫は、他のAIスタートアップとの差別化要素となっている。

今後は、広告・Web領域だけでなく、採用支援や営業支援、カスタマーサポートといった企業活動全体にAIの恩恵を届けるプロダクト群を段階的にリリースしていく方針だ。現場主導で導入される「SaaS for Ops(現場起点のSaaS)」という市場トレンドを踏まえ、特定部門から導入され、全社に広がっていく導線設計にも力を入れているという。

SaaS領域におけるプロダクト主導型グロース(PLG)や、生成AIの民主化を見据えた戦略のもと、FLUXはAI時代のインフラ的存在を目指す。今後の成長とともに、国内外の企業にとってより身近で実践的なAI活用が広がっていくことが期待される。