デジタル証券がST市場拡大に向けて5億円の資金調達を実施

2025年6月20日に、セキュリティ・トークン(ST)を活用した次世代金融プラットフォームを展開するデジタル証券が、シリーズAラウンドのファーストクローズにおいて総額5億円の資金調達を実施を発表した。これにより、同社の累計調達額は9億円に達したという。
デジタル証券は、ブロックチェーン技術を基盤としたデジタル証券(セキュリティ・トークン)の発行・管理・流通に特化したスタートアップである。伝統的な金融商品に対して透明性・効率性を付加することで、新たな資産形成の選択肢を提供している。企業の資金調達手段としてのSTの活用や、個人投資家に向けた小口投資の普及など、金融市場の分散化と民主化に向けた取り組みが進んでいる。
今回の資金調達では、ST分野におけるシステム基盤の高度化や、新規プロダクトのローンチに向けた開発体制の強化が主な目的とされている。また、今後のセカンドクローズに向けては、さらなる事業提携や新規投資家の参画も視野に入れているという。
国内においてST市場はまだ黎明期にあるが、近年では不動産やインフラ、エンタメ領域を中心にデジタル証券を活用した資金調達事例が増加傾向にある。デジタル証券株式会社は、これらの分野での応用可能性を見据え、プラットフォームの汎用性や法規制対応の柔軟性を重視した開発を進めている。特に、金融商品取引法や資金決済法との整合性を確保しながら、利便性と信頼性を両立させたサービス設計を志向しているようだ。
同社はこれまでに複数の実証実験を通じて技術検証と市場ニーズの把握を進めており、すでに一部の企業向けにはSTを活用した私募型ファンドの仕組みを提供している。今後は個人投資家がアクセス可能なプロダクトの本格提供を見据えた開発や、金融機関との協業によるエコシステムの拡充にも取り組む方針だ。
デジタル資産の社会実装が加速する中、金融インフラの革新に挑む同社の動きは、STを含むデジタル証券市場全体の発展に大きな影響を与える可能性がある。