日本能率協会が東京本部オフィスにアート空間を導入
一般社団法人日本能率協会(JMA)が、2025年4月11日、アート導入が完了した東京本部(東京都港区芝公園)にて、参加アーティストによるトークイベントを開催した。会場では、3月に開催された経営層向けシンポジウム「アートが切り拓く経営の未来」のダイジェスト映像が上映され、多くの来場者が“アート思考”を刺激する新たな空間を体感したという。
JMAは、1942年に設立され、現在1,300社以上の会員を有するマネジメント推進団体である。人材育成、経営革新、国際社会への貢献を目的に、多様な事業を展開してきた。今回の取り組みは、その活動の延長線上にあり、今後もアートと経営を結びつけた新たな価値提供に取り組んでいく構えのようだ。
今回の取り組みは、オフィスが従来持つ「仕事をする」「学ぶ」という機能に加え、創造的な感性を刺激する場としての役割を空間に持たせることが狙いとされている。アートの持つ直感的な力を取り入れることで、ビジネスにおける思考の柔軟性や新たな発想を促進しようとする試みだという。

アートディレクションは、JMA理事でありK ART & DESIGN代表を務める宮内謙氏のもと、同社の土屋純アートディレクターが担当。写真、金属造形、イラストレーションなど、多様な表現手法を持つ6名のアーティストが協力し、オフィス2階のロビーや1階の研修センター空間のデザインが一新された。東京タワーをモチーフにした作品や、JMAの理念を抽象的に表現したアートなどが並び、訪れる人々の感性を刺激する空間に仕上がったようだ。
JMA経営・人材革新センターのセンター長・富浦渉氏は、今回の取り組みについて次のようにコメントしている。
アートを取り入れることにしたきっかけについて、「現代のビジネス環境で重要とされる「サイエンス(分析)」「クラフト(技術・技能)」「アート(直感)」の3つの要素をバランスよく取り入れ、研修室という「学ぶ」場所から『創造的な感性が芽生える環境』への進歩することで、「創造的思考」を促進していくためです」
また、アートを取り入れた先にあるJMAが目指すものについて、
「アートを取り入れることで、企業はイノベーションの加速、ブランド強化、社内文化の醸成、社会的使命の達成、そして顧客体験の向上という多岐にわたる成果を期待できます。これらの要素は「企業の競争力」を高め「持続的な成長」を実現するための基盤となります。JMAはアートの持つ力を最大限に引き出し、革新と価値創造の道を歩んでいきたいと考えています」
と述べている。
イベント当日は、参加アーティストによるトークセッションも実施された。写真家・しんどうあすか氏は、東京タワーを真下から撮影した作品について、「日常の風景に新たな視点を加えることで、街を歩く楽しさや発見の喜びを伝えたい」と語った。

金属造形作家・笠原仁氏は、JMAの旧ロゴをモチーフにしたオブジェについて、日本刀の鍛造技術を用いた独自の表現によって「素材の強さや奥行きを感じ取ってほしい」と話した。
そのほか、イラストレーター・飯尾あすか氏、5wood氏、三平悠太氏、渡辺明日香氏など、多様なバックグラウンドを持つアーティストたちが、アートの力によってJMAのオフィスを大きく変えた。
訪れた来場者との対話を通じて、アートがもたらす新たな気づきが広がる場となったようだ。