Fact Baseが図面管理システム「ズメーン」の提供で中小製造業のDXを後押し

中小製造業の受発注を円滑にする図面管理システム「ズメーン」を提供するスタートアップ、Fact Baseが注目を集めている。「町工場が主役の受発注プラットフォームを創る」というビジョンを掲げ、町工場の持つ技術力とポテンシャルを引き出すべく、製造業の情報インフラの再構築に挑戦しているという。
Fact Baseは2020年代に創業されたスタートアップで、代表の大屋貴広氏がリードしている。製造業に携わる中で現場の非効率性に課題意識を持ち、エンジニアリングとデザインの両面からアプローチするプロダクト開発を行っている。今後は、ズメーンを中核にしながら、受発注管理や品質管理など周辺機能の拡張を進め、製造業における「情報の起点」としてのポジションを築いていく構えだ。
同社は、製造業における図面の取り扱いに特化したクラウドシステム「ズメーン」を中心に事業を展開。従来、紙やメール添付などで煩雑に管理されていた図面や指示書類をクラウド上で一元管理できるようにすることで、情報の伝達ミスや更新漏れを防止し、現場の業務効率を大幅に向上させることを狙っている。特に、発注元から町工場までのやり取りにおいて「どの図面が最新版か」「誰が承認したのか」といった情報の不透明さが、現場に混乱や再作業をもたらしていたという。ズメーンはこれらの課題に対して、履歴管理・アクセス制限・ファイルビューアといった機能を通じて明確な改善を提示している。
同社のターゲットは、デジタル化が遅れがちな中小製造業でありながらも、高度な技術力を持つ町工場。こうした現場では、口頭やFAXによるやりとりが依然として根強く残っており、取引先との連携においても属人的な管理が一般的だ。Fact Baseは、こうした現状に対してテクノロジーで支援する姿勢を明確にしており、「現場にとって本当に使いやすいシステム」を目指して、ユーザーからのフィードバックをもとに改善を重ねているという。
企業理念として掲げるのは、「町工場が主役になれる社会」の実現。その根底には、製造業の川下から川上に至るまでの全体最適を目指す視点がある。下請け構造の中で埋もれがちな町工場の知見や技術を表舞台に引き上げることで、より持続可能で強固な製造産業のエコシステムを築こうとしているようだ。
町工場がデジタルの力で再び主役に返り咲く──その第一歩として、「ズメーン」がどのように製造業の常識を塗り替えていくのか、今後の展開に注目が集まるだろう。