※本記事は以下調査を参照しています。
クロスワークしごと白書:https://x-work.jp/journal/driver-working_ai

ノンデスク事業者向けの人材採用・キャリア支援サービス「クロスワーク」を運営する XMile株式会社は、全国の20〜60代ビジネスパーソン1,000名(オフィス職500名・現場職500名)を対象に「今後の働き方に関する調査」を実施した。
その結果、オフィス職(ホワイトカラー)の約7割が「条件次第で現場職(ブルーカラー)に転職してもよい」と考えていることが明らかになった。さらに、AI代替リスクの認識が強い層ほど現場職志向が高まることも明らかになったと。
近年、AI導入やオートメーションの進展によってホワイトカラー業務の効率化が急速に進み、非デスクワークの職種にも関心が高まっている。今回の調査結果は、その意識変化を裏付けるものといえるだろう。
約7割のオフィス職が「条件次第で現場職へ」

オフィス職482名に「現場職に転向してもよい条件」を尋ねたところ、最も多かったのは「休日・勤務時間の改善」で37%(176人)。
次いで「年収が大きく上がるなら」36%(172人)、「将来のキャリアの選択肢が広がるなら」16%(79人)、「周囲の評価や世間体が気にならない環境なら」11%(51人)と続いた。
一方で「絶対に変えたくない」と回答したのは29%(143人)にとどまり、残る7割(339人)が“条件次第で現場職への転向が視野に入る”と考えている。
AI代替リスク不安が高いほど、現場転向意向が強まる

AIによる業務代替への不安が強い層ほど、現場職への関心が高い傾向も明らかになった。
「AIにより仕事の80%以上が代替される可能性がある」と回答した層では、17人中16人が「条件次第で現場職も可」と答えている。
これに対し、「AIで自分の業務が代替される割合を「ほぼされない(10%未満)」とする層では、「条件次第で現場職も可」とするのは45%(49人/110人)にとどまり、AIに強い危機感を持つほど転職意向が高まる傾向が数値上確認された。
また、リスク認識を30〜80%とする中間層でも7割を超える人が現場転向を容認しており、AI時代におけるキャリア選択の揺れが可視化された格好だ。
現場職の過半数「自分の仕事はAIに代替されない」

一方で、現場職従事者500名を対象にした調査では、「自分の仕事がAIに代替される可能性は低い」と考える人が多数を占めた。
「ほぼ代替されない(10%未満)」が最も多く284人、「ほぼ全て代替される」と答えたのはわずか17人にとどまった。
オフィス職では「半分程度(30〜50%)代替される」が158人で最多だったため、オフィス職は「いずれAIに代替される」という考えが広がっているのに対し、現場職では「ほぼされない」と考える人が多数派であることが分かった。
職種別の仕事不満──オフィス職は人間関係などメンタル面、現場職は体力・環境

現在の仕事に対する不満を尋ねたところ、現場職(500名)では「給与・待遇が低い」(207人)、「職場環境が悪い」(138人)、「体力的にきつい」(130人)が上位に挙げられた。オフィス職(482名)では、「特に不満はない」が最多(144人)だったものの、「給与・待遇の低さ」(131人)、「人間関係のストレス」(126人)、「精神的ストレス」(100人)、「やりがいの欠如」(81人)が続いた。
この結果から、給与面を除けば、現場職では身体的・環境的負担、オフィス職ではメンタル的な負担が目立つ構図となっている。 労働環境の性質の違いが、職種ごとの不満要因を分けている。とくに現場職では待遇改善が課題とされる一方、オフィス職ではリモートワークの普及などにより、コミュニケーションや心理的負担への対策が求められていると考えられる。
将来への不安──共通するのは「年収」

「将来のキャリアに関する不安」を尋ねると、現場職・オフィス職ともに「年収が上がらない」が最多だった。 現場職では222人がこれを挙げ、続いて「体力的についていけない」(158人)が続いた。
オフィス職では「年収が上がらない」(165人)、「景気悪化で仕事がなくなる」(70人)、「新しい技術についていけない」(65人)が続く。
現場職の魅力──「社会・生活を支える重要な仕事」が最多

現場職で魅力を感じる層419名に「現場職に魅力を感じる理由」を尋ねたところ、最も多かったのは「社会や生活を支える重要な仕事だから」で126人(約30%)。次いで「自分の経験・得意分野を活かせそうだから」(113人)、「休日・勤務時間などの条件が良さそうだから」(104人)、「働き方が自分に合う」(102人)が続いた。
現場職では経済的要素よりも「仕事の意義」や「社会的貢献」を重視する傾向が明らかになった。
クロスマイル株式会社代表取締役CEO 野呂寛之氏のコメント
本調査により、日本の労働市場において職業観が変化しつつあることが明らかになりました。特に注目すべきは、ホワイトカラーと呼ばれる「オフィス職」の7割が条件次第で現場職への転向も検討できると捉えている点です。AI代替への不安が強い層ほどその傾向が顕著なことも見逃せないポイントです。
また、現場職従事者の約3割は、現場職の仕事の魅力を「社会や生活を支える重要な仕事」と回答しています。ただし、現場職では給与・待遇への不満も多く、条件改善は必須です。
当社はノンデスク事業者と求職者の最適なマッチングを通じ、誰もが自分らしいキャリアを築ける社会の実現を目指してまいります。
調査名称:「今後の働き方に関する調査」
実施主体:XMile株式会社(クロスワーク)
期間 :2025年8月13日〜8月22日
方法 :インターネット調査
対象 :全国の20〜60代ビジネスパーソン1,000名(オフィス職500名・現場職500名)
今後、AIや自動化が職種間の境界を曖昧にしていく中で、「現場を選ぶキャリア」が新たな選択肢として定着していく可能性がある。労働の価値観が変化する中、条件次第で職種を越える柔軟なキャリア観が広がっている。
