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ドン・キホーテ(PPIH)が免税売上が過去最高の1,742億円達成

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH、通称ドン・キホーテ)が2024年度における免税売上を発表した。売上高は過去最高となる1,742億円に達し、同社は今後の長期戦略として2035年までに4,000億円規模への拡大を目指す方針を明らかにした。

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を中心に国内外で小売事業を展開するグループ企業である。ユニーや長崎屋の事業を統合し、食品から家電、日用品まで幅広い商品を取り揃える総合ディスカウント業態を強みとする。近年はアジアを中心とした海外展開を加速させており、2023年には北米やシンガポールにも積極的に出店。日本国内においては、訪日観光客向け免税対応や地域特化型の店舗戦略を推進している。

今回の免税売上の伸長は、コロナ禍以降急回復しているインバウンド需要が大きく寄与したものだという。特に中国や東南アジアからの観光客による購買が活発であり、日用品や化粧品に加え、菓子・食品類の売上が大きく伸びたとされる。また、同社は各店舗における多言語対応やキャッシュレス決済の導入を進め、訪日客が快適に買い物を楽しめる環境を整備してきた。

さらに、PPIHは免税カウンターの効率化やモバイルアプリを活用した購買体験の強化を図っており、リピーターを増やす仕組みづくりに注力している。特に「観光消費のワンストップ拠点」としての店舗設計を打ち出し、地域観光資源と連動した取り組みを積極的に展開しているのが特徴だ。

同社は2035年までに免税売上4,000億円を掲げ、海外出店の拡大と国内店舗のインバウンド需要取り込みを両輪で進める構えだ。観光立国政策が進む中で、小売業としての存在感をさらに高め、訪日客にとって「日本で必ず訪れる買い物スポット」としての地位を確立する狙いがあるとみられる。

PPIHの挑戦は、日本のリテール業界におけるインバウンド需要の取り込み戦略を象徴する事例といえるだろう。