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日本の輸出、7月は前年比2.6%減で約4年ぶりの落ち込み

財務省が8月20日に発表した7月の貿易統計速報によると、日本の輸出額は前年同月比2.6%減の8兆7,871億円となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響が色濃く残っていた2021年以来、約4年ぶりの減少となる。特に米国向け輸出が同10.1%減と大幅に落ち込み、全体を押し下げた格好だ。

輸出の減少要因として、米国市場における自動車関連の需要減速が挙げられる。半導体不足の緩和や新車供給の正常化によって一時的に高水準だった輸出が落ち着きを見せており、さらに電気自動車(EV)分野での競争激化も影響しているとみられる。また、資源価格の変動や為替相場の影響も、輸出額の伸び悩みに拍車をかけている。

一方で、アジア向け輸出は堅調に推移し、中国や東南アジアへの電子部品・素材輸出は一定の底堅さを示した。しかし米国向けの減少幅が大きく、全体の落ち込みを補うには至らなかった。

輸入は前年同月比で小幅な増加にとどまり、結果として貿易収支は1,003億円の赤字を計上した。エネルギー価格の下落が続く一方で、食料品など生活必需品の輸入額は高止まりしている。

今回の結果は、日本経済にとって外需依存のリスクを再認識させるものとなった。特に米国景気の減速が輸出に直接影響する構造が浮き彫りとなり、国内製造業や物流産業への波及が懸念される。政府や企業にとっては、輸出市場の多角化や国内需要の拡大を進める必要性が高まっているといえる。

世界経済の不確実性が強まるなか、日本の輸出動向は今後の景気の方向性を占う上で重要な指標となりそうだ。