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ソフトバンクGが第1四半期は黒字転換 スターゲートに遅れもAI投資が収益押し上げる

ソフトバンクグループは8月7日、2025年4〜6月期(第1四半期)の連結決算を発表した。純利益は4218億円となり、前年同期の赤字から大幅に改善した。背景には、AI関連企業への積極的な投資拡大があり、グループ全体の収益構造を押し上げた格好だ。

ソフトバンクグループは、1981年に創業し、通信事業を基盤としながら、近年は投資会社としての色合いを強めている。世界最大規模のテクノロジーファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を通じてAIやIoT、ロボティクスなど成長分野に積極投資。孫正義会長兼社長のもと、世界のテクノロジー産業における戦略的投資家として存在感を放っている。

決算説明会では、米国で進められている大規模AIデータセンター構想「スターゲート」についても言及があった。総額5000億ドル規模とされるこの計画は、OpenAIなど複数のパートナーと進めるプロジェクトだが、CFOの後藤芳光氏は「当初の予定より少し遅れている」と認めた。複数の関係先との協議や用地選定が長引いていることが要因であり、事業推進には時間を要している状況だという。

一方で、AI分野への投資は着実に成果を上げている。ソフトバンクは今年4月までにOpenAIへ75億ドルを出資。外部からの資金募集に対しても予定額25億ドルに対し57億ドルの応募が集まるなど、市場の関心は高い。年内には最大300億ドルの追加出資も視野に入れており、成長分野への大胆な資本投入を続けている。

その結果、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資収益は約506億ドルと大幅に増加。グループ全体の黒字転換を力強く支える原動力となった。国内通信事業の安定収益に加え、AI投資による利益貢献が鮮明になっている。

スターゲート計画は「遅れ」が課題として浮かび上がったが、AI投資のリターンが決算を押し上げている現状は、ソフトバンクGの戦略が一定の成果を見せていることを示す。世界的なAIインフラ構築競争の中で、同社がどのように次の一手を打つのか、引き続き関心を集めそうだ。