アガサが治験や品質管理に関する文書の作成・保管・共有を効率化するクラウド型SaaS「Agatha」を提供開始

医療分野における文書管理の効率化を目指すスタートアップ、アガサが注目を集めている。同社は、製薬企業や医療機器メーカー、医療機関などを対象に、治験や品質管理に関する文書の作成・保管・共有を効率化するクラウド型SaaS「Agatha」を提供。煩雑かつ厳格な管理が求められる医療関連文書に対応し、法規制やGxP(医薬品の製造および品質管理基準)への準拠を支援する。設立は2015年で、国内外の製薬企業やCRO(医薬品開発業務受託機関)にも導入が広がっているという。
アガサが手がける「Agatha」は、医療業界における“紙文化”や属人的な業務プロセスを、デジタルの力で抜本的に見直す取り組みの一環といえる。治験文書の作成・承認・保存といったプロセスは、多くの関係者とのやりとりを要し、従来はメールや紙ベースでの管理が主流だった。これに対し、Agathaはクラウド上で一元的に管理できるプラットフォームを提供し、進捗の可視化や承認のワークフロー自動化を実現している。
特に治験業務においては、医療機関や製薬企業、CRO、治験責任医師など多様なステークホルダーが関わるなかで、適切な文書のバージョン管理や改訂履歴の保持が求められる。Agathaではこれらをクラウド上で記録・共有できるため、透明性とトレーサビリティを高めつつ、業務負荷を大幅に軽減できるという。
また、医療機器メーカーや製薬企業にとって不可欠な品質管理文書(SOPや記録類)の整備・運用にもAgathaは活用されており、内部監査や規制当局の査察への対応力強化にも寄与している。グローバル展開にも対応しており、日本語・英語に加えて他言語対応も進めるなど、海外市場への浸透も視野に入れているようだ。
コロナ禍以降、医療分野においてもリモート対応や電子化のニーズが高まった背景もあり、Agathaの導入実績は右肩上がりで推移している。今後はAI技術の活用による文書作成支援や自動分類機能の強化など、さらなるプロダクト進化も計画されているという。
アガサの取り組みは、医療・製薬業界のデジタルシフトを現場レベルで支える実装型のSaaS事例として、今後の展開にも注目が集まりそうだ。