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アキュリスファーマが神経・精神疾患領域の課題解決に向け35億円を調達

神経・精神疾患領域における新薬の開発・商業化を手がけるアキュリスファーマが、シリーズCラウンドにて総額35億円の資金調達を実施したと発表。これにより、同社の累計資金調達額は140億円を超えたという。

アキュリスファーマは、「神経・精神疾患とともに生きる人々のQoL向上を実現する」ことをミッションに掲げ、未だ満たされていない医療ニーズの解消に挑んできた。中でも同社は、日本国内でのドラッグ・ラグ(海外で承認された薬が日本では未承認である状態)やドラッグ・ロス(開発中止や事業撤退により薬が供給されない状態)といった課題に対し、欧米の優れた医薬品を導入・開発・販売することで解決を図る戦略を取っている。

今回の調達資金は、てんかん重積状態などの急性発作時に使用される「ジアゼパム点鼻液」および、ナルコレプシー治療薬として知られる「pitolisant(ピトリサント)」の国内薬事申請および商業化準備に充てられる予定だという。いずれも日本ではまだ入手が難しい薬剤であり、その導入は医療現場の治療選択肢を広げると期待されている。

ジアゼパム点鼻液は、てんかん患者の発作時に家庭や外出先でも迅速な処置が可能となる治療選択肢として、米国などで既に承認されている。一方のpitolisantは、覚醒促進作用を持つヒスタミンH3受容体拮抗薬で、ナルコレプシーに伴う日中の過度な眠気を改善する作用があるとされる。

アキュリスファーマは、これらの医薬品の開発・申請・販売を通じて、神経・精神疾患に苦しむ患者やその家族に対し、より質の高い医療アクセスを提供することを目指している。すでに海外で高い評価を得ている治療薬を迅速かつ安全に日本市場へ導入することで、医療イノベーションの推進と、患者の生活の質向上に貢献したい考えのようだ。

同社は2021年の設立以来、世界中の製薬企業やアカデミアとの提携を進めながら、希少疾患や難治性疾患へのアプローチを強化してきた。今後も神経・精神疾患領域における革新的な医薬品の普及を通じて、日本の医療環境に新たな価値をもたらすスタートアップとしての役割を果たしていく構えだという。今後の動向としては、ジアゼパム点鼻液およびpitolisantの薬事承認取得を経て、製品の国内ローンチが予定されている。また、その他の導入候補薬剤についても検討が進められており、国内外の医薬品開発企業との連携を一層強化していく方針のようだ。

アキュリスファーマの今回の資金調達は、神経・精神疾患という医療課題に真っ向から取り組むスタートアップとしての信頼と期待の表れでもある。患者中心の医療イノベーションを推進する同社の挑戦に、今後も注目が集まりそうだ。