マックハウスが約24億円を調達しビットコイン投資とM&Aで収益基盤を多軸化

マックハウスが、暗号資産への投資を含む新たな資本戦略を本格始動した。2025年6月20日に同社は第三者割当による第9回新株予約権の行使が完了し、総額約24億円の資金調達に成功したと発表。調達資金のうち最大17億円をビットコインの取得に充てる計画だという。
マックハウスは、全国に250店舗以上を展開するカジュアル衣料品チェーンを運営。1990年に設立され、現在は東京都杉並区に本社を構え、衣料品販売を軸にした安定的な事業基盤を築いている。昨今は事業の再構築と企業価値向上を目指し、アパレル事業に加えた新たな収益源の確立を模索していた。

今回の資金調達は、そうした企業変革の一環として位置付けられており、注目されるのはその使途における戦略的な分配だ。マックハウスは当初、ビットコインへの投資額を8億円と見込んでいたが、新株予約権の好調な行使により、最大で17億円まで拡大する余地が生まれたとしている。すでに7億円分のビットコインを取得しており、残る10億円分については今後の市場状況などを踏まえて段階的に判断していくという。
さらに、同社はこのタイミングで「M&A推進室」および「デジタル資産運用グループ」という2つの専門部署を新設。前者は今後の企業買収やベンチャー投資を担い、後者は暗号資産の取得・保有・売却に関する運用方針やリスク管理を専門的に担う組織として機能する。これにより、これまでのアパレル中心の収益構造から、より多角的な経営体制への移行を進める狙いがあるようだ。
なお、デジタル資産運用グループの立ち上げにあたっては、外部専門家のアドバイザリーも受けながら、社内規程の整備や適切な会計処理、セキュリティ管理体制の構築も同時に進めている。従来の小売業にとどまらず、より機動的な資本活用を志向する同社の姿勢がうかがえる。
マックハウスは、これら一連の施策を単なる資産運用ではなく、企業価値の再定義と収益の多軸化を図る戦略的取り組みと位置付けている。経済情勢やアパレル市場の先行きが不透明さを増すなか、変化に柔軟に対応する経営モデルを追求する姿勢が鮮明になった。
今後はビットコイン投資のパフォーマンスや、M&A推進室を通じた新たな事業展開の動向が、同社の次なる成長戦略の鍵を握ると見られている。アパレル企業としての枠を超えた、異分野への挑戦がどのような成果をもたらすか、その動向が静かに注視されている。