核融合でエネルギー革命を目指すEX-FusionがシリーズAラウンドで2.6億円を調達

2025年6月5日にレーザー核融合スタートアップのEX-Fusionが、シリーズAラウンドにおいて2.6億円の資金調達の実施を正式に発表した。今後の研究開発体制の強化と、レーザー核融合商用炉の早期実現に向けたステップアップに資金が活用されるという。
EX-Fusionは、大阪大学発のディープテックスタートアップで、レーザーによる核融合発電の商用化を目指している。従来の磁場型核融合と比較して装置の小型化・低コスト化が期待される「慣性閉じ込め方式(レーザー核融合)」に特化し、エネルギー産業の転換を視野に入れた研究開発を推進している。2021年に設立されて以降、大学研究機関との連携や技術検証を進めながら、独自のターゲット供給装置や高繰り返しレーザー照射システムの開発に注力してきた。
今回の資金調達には、リアルテックファンドを運営するグローバル・ブレインのほか、既存投資家を含む複数のベンチャーキャピタルが参加。累計調達額は約5億円となった。EX-Fusionは2023年にプレシリーズAで約2.4億円を調達しており、今回のシリーズAはこれに続く形となる。
調達資金は、レーザー核融合の中核技術である「ターゲット搬送・照準・点火」までを自動化・高頻度化する実証装置の開発、および関連技術の検証に投じられる予定だ。特に、核融合実用化における鍵である「繰り返し照射による連続的なエネルギー生成」へ向けて、ハードウェアとソフトウェアの両面での整備が急がれている。
同社代表の山本祐也氏は、「再生可能エネルギーを補完する形で、核融合というクリーンで持続可能なエネルギー源の社会実装を目指している。2030年代前半には小型商用炉の実用化を視野に入れており、今回の資金調達はそのための重要なマイルストーンになる」とコメントしている。
核融合エネルギーは「夢の技術」とも称され、各国で大規模な国家プロジェクトが進行しているが、EX-Fusionのアプローチはその中でも異彩を放つ。大規模プラントを前提としない分散型・コンパクトな発電システムを志向する同社の戦略は、エネルギーインフラの在り方そのものに新たな選択肢を提示する可能性がある。
現在、同社は大阪府吹田市に研究拠点を構え、国内外の研究機関や民間パートナーとの連携体制も強化している。今後は実証データの蓄積とともに、パイロットスケールでの発電検証や国際的な規制整備との連携も視野に入れており、技術開発と事業性の両面での前進が期待されている。
脱炭素社会の実現に向けて、新たなエネルギー源の確立は喫緊の課題であり、その最前線に位置するEX-Fusionの動きは、国内外の産業界からも大きな関心を集めているようだ。