AI文字起こし「Notta」がシリーズA+で9億9,000万円を調達しグローバル展開とAI精度向上に向けた加速フェーズへ

AI文字起こしサービス「Notta(ノッタ)」を運営するNottaが、シリーズA+ラウンドにて9億9,000万円の資金調達を実施した。引受先には、みずほキャピタルとMizuho Leaguer Investmentsが共同で出資するファンドのほか、GSR Venturesが名を連ねた。調達は2025年5月に発表されたもので、今後のプロダクト高度化およびグローバル展開を加速させる構えだという。
Nottaは、AI音声認識技術を活用した文字起こしプラットフォーム「Notta」を提供するスタートアップ企業だ。会議・講義・取材・インタビューなど様々な音声データを、リアルタイムでテキスト化できるサービスとして注目されている。日本語を含む104言語に対応し、ウェブ版・モバイルアプリ・Chrome拡張機能など多様なデバイスで利用可能。議事録作成や字幕生成、Zoom連携機能なども搭載しており、業務効率化のニーズが高まる中で急速にユーザーを伸ばしている。
同社はこれまでに複数回の資金調達を経て、文字起こしに留まらない「音声データの資産化」を掲げたサービス展開を強化してきた。2023年には生成AIを用いた要約機能をリリースするなど、AIの進化をプロダクトに迅速に取り込んでいる。
今回のシリーズA+ラウンドは、Nottaにとって次の成長段階への布石といえる。調達資金は以下の用途に活用される予定だ。
・独自AIモデルの高度化と、多言語対応の精度強化
・アジアを中心とした海外展開の本格化
・チーム体制の強化と採用拡大
・エンタープライズ向け機能の開発
特に注目されるのは、今後の海外市場への展開だ。すでに英語圏を中心とする海外ユーザーの利用も広がっており、Nottaは「グローバル対応のUI/UX強化」と「国別の利用環境最適化」に向けた開発を進めているという。
また、法人向けのユースケースも着実に拡大中だ。リモート会議の議事録作成だけでなく、コールセンターの通話記録管理や、教育・医療分野における音声データの活用など、導入領域が多様化している。直近では、大手企業や大学機関との連携事例も増えており、堅実なBtoB展開を軸に成長を続けているようだ。
今回の出資者であるGSR Venturesは、アメリカ・中国を拠点にグローバルなAI・ヘルスケア領域への投資実績を持つベンチャーキャピタル。Mizuho Leaguer Investmentsは、Mizuho Innovation Frontierが運営するベンチャー投資子会社で、スタートアップの中長期的成長支援に注力している。
資金調達と同時に、Nottaは今後「音声から価値を引き出すインフラ」になることを目指しており、議事録ツールに留まらない次世代型AIプラットフォームへの進化を掲げている。高い音声認識精度に加え、業務プロセスに直結するような要約・分類・翻訳などの機能を融合し、働き方そのものを変革するようなプロダクトを志向しているようだ。引き続き、音声×AIの領域でどのような展開を見せるのか、その動向に目を奪われる。