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エキュメノポリスがプレシリーズAで7.5億円を調達

会話AIエージェントの開発を手がけるスタートアップ、エキュメノポリスが、プレシリーズAラウンドにおいて総額7.5億円の資金調達を実施した。出資者にはBeyond Next Ventures、科学技術振興機構(JST)などが名を連ねており、調達資金は同社の対話AI技術の高度化と、商用プロダクトの展開強化に充てられるという。

エキュメノポリスは、東京都に拠点を構える会話AI技術のスタートアップ企業。人間に近い対話体験を実現するAIエージェントの研究開発を行っており、自然言語処理、ディープラーニングを活用した独自技術に強みを持つ。設立以来、研究機関との連携やBtoBでの実証実験を通じて、商用化を見据えたプロダクト開発を推進している。自然な言語理解と会話の継続性を追求した対話AI技術を強みに、企業向けのカスタマーサポートや業務効率化に貢献するAIエージェントの開発を進めてきた。特に、人間の「聞く」「考える」「返す」といった複雑な対話の流れを再現する設計思想にこだわり、従来のFAQ型チャットボットとは一線を画すユーザー体験の実現を目指している。

今回の資金調達では、ディープラーニングや自然言語処理の研究支援に実績のあるJSTが出資している点も注目される。エキュメノポリスはこれまでも、複数の研究機関と連携した技術開発を行っており、学術的な裏付けを持つプロダクト設計が同社の競争優位性を形成しているようだ。

同社が注力するのは、BtoB領域における高度な対話AIの活用である。すでに、大手企業と共同での実証実験を進めており、社内問い合わせ対応や営業支援、ナレッジ検索など、複数のユースケースで成果が出始めているという。今後は、こうした知見をベースに商用プロダクトの提供を本格化し、2025年中には複数業界での導入拡大を見込んでいる。

また、今回の調達資金は開発体制の強化にも充てられる予定で、特に機械学習・自然言語処理分野の研究者やエンジニアの採用を加速させる方針だという。AIスタートアップにとって、技術人材の確保は事業成長におけるボトルネックになりやすいが、資金面の充実により、より先鋭的な開発体制の構築が可能になる見込みだ。
今後、対話AIは単なる「問い合わせ対応ツール」から、「業務の意思決定を支援するパートナー」へと進化していくことが予想される。その変革期において、エキュメノポリスがどのような役割を果たすのかその動向に期待が寄せられている。