JR東日本スタートアップが観光・インバウンド分野での協業促進イベント開催

JR東日本スタートアップが、観光・インバウンド領域における協業機会を創出するためのスタートアップ向けイベントを開催した。地域資源の活用と訪日外国人の増加を見据えた新規事業の共創に向けて、多様なプレイヤーが一堂に会し、JRグループとの連携可能性を模索する場となった。
JR東日本スタートアップは、東日本旅客鉄道(JR東日本)のオープンイノベーションを担う戦略子会社。2018年の設立以来、スタートアップや研究機関と連携し、駅・鉄道を起点とした社会課題解決型ビジネスの創出に取り組んでいる。事業領域は交通や暮らしのインフラにとどまらず、地域創生や観光促進、次世代モビリティ、さらにはウェルビーイングなど多岐に渡り、これまでに100件以上の実証プロジェクトを推進してきた。
今回のイベントは、JR東日本グループが注力する観光事業の革新に向けた取り組みの一環として実施された。訪日外国人観光客(インバウンド)の急増にともない、鉄道を基盤とした移動体験や地方誘客の質的向上が重要視されており、こうした背景からスタートアップとの協業による新たな価値創出が期待されている。
会場では、観光テック、AI、モビリティ、地域コンテンツ創出などを手がける複数のスタートアップが自社の技術やビジネスモデルをプレゼンテーション。JR東日本やJR東日本スタートアップの担当者らがその可能性を直接評価し、個別相談を通じて具体的な連携方法を探った。
特に注目を集めたのは、AIガイドやマルチリンガル観光アプリ、バリアフリー観光のデジタル支援ツールなど、訪日客へのユーザー体験を強化する提案だったという。地域交通機関との接続性や駅ナカ施設の利活用をテーマにしたアイデアも見られ、地域課題と連動した提案が多数あがった。
また、イベントの終盤では、2025年に本格展開される「JR東日本スタートアッププログラム2025」に向けた説明も行われた。同プログラムでは、春と秋の年2回にわたって募集を行い、地域共創・デジタル共創・地球共創(SDGs)の3テーマに沿った共創プロジェクトを支援していく予定だという。
持続可能な観光とインバウンド戦略において、鉄道事業者が果たす役割はますます重要になっている。交通網という既存のインフラを活かしながら、デジタルと地域資源を融合させた新たなビジネスの可能性に関心が高まりそうだ。