日本最古からブルジュ・ハリファまで。エレベーター世界最大手オーチスCEOが語る、技術の進化と”高齢化先進国”日本市場
エレベーターは、あることが当たり前の設備だ。誰も意識せずに乗り、降りていく。だがその「当たり前」は、高齢化と建物の老朽化という2つの潮流によって、いま静かに書き換えられようとしている。
世界で稼働するエレベーター約2,300万台のうち、約900万台が改修を検討すべき時期に近づいている。日本は、世界で高齢化が最も早く進む国の一つである。
創業から170年以上、世界200以上の国と地域で7万2,000人が働くエレベーター・エスカレーター最大手のオーチス。同社の会長兼CEO兼社長であるジュディ・マークス氏と、日本法人・日本オーチス・エレベータ代表取締役社長のパトリック・ヨング氏に、日本市場の位置づけとエレベーターに起きている変化を聞いた。

【オーチス・ワールドワイドとは】
1853年、エリシャ・オーチスによる落下防止装置の発明を起点に創業。エレベーター・エスカレーターの製造・据付・保守・改修を手がける世界的リーディングカンパニーで、2020年にユナイテッド・テクノロジーズから分離・独立し、ニューヨーク証券取引所に再上場。
200を超える国と地域で事業を展開し、従業員は約7万2,000人。うち約4万5,000人がフィールドプロフェッショナルとして現場を支える。日本法人の日本オーチス・エレベータは1932年設立で、90年以上の歴史を持つ。
■ エレベーターは「垂直移動」の設備ではない
── 日本は世界で最も高齢化が進んでいる国の1つです。そのなかで、エレベーターの役割はどう変わってきたのでしょうか。
ジュディ・マークス氏(以下、ジュディ):その前提として、人々の暮らしと移動のあり方を世界規模で変えている大きな潮流が4つあると考えています。高齢化、都市化、建物・インフラの老朽化、そしてデジタル化です。
エレベーターは、人々の安全で効率的な移動を統合的に担うものです。それは建物内の垂直移動だけでなく、都市間の移動を支えるインフラの一部でもあります。私たちは自らを、エレベーターを製造し設置する会社であると同時に、サービス企業だとも捉えています。お客様へのサービスは、すべて、それぞれの国と地域で提供しています。
高齢化について言えば、日本はこの面で世界の国々をリードしています。しかし今後、世界のさらに多くの国で高齢化は進みます。2050年までに60歳以上の人口は21億人に達すると推計されています。
エレベーターは、人々が年齢や身体的な制約にかかわらず、安全かつ自由に移動し、より豊かな生活を送ることを支える重要な設備です。そして高齢化しているのは人口だけではありません。建物やインフラも老朽化しています。世界で稼働するエレベーター約2,300万台のうち、約900万台が改修を検討すべき時期に近づいています。私たちは改修を、単に古い設備を更新することではなく、将来を見据えて建物の価値を高める取り組みだと考えています。
── 高齢化によって生じている課題に対して、具体的にどのようなアクションを取っていますか。
ジュディ:「Otis Viva™」というソリューションがあります。日本では2026年6月に提供を開始しました。新築の建物だけでなく、既存ビルの改修にも導入できるソリューションです。
高齢化が進む中で、私たちは誰もが安心して利用できる移動環境づくりに取り組んでいます。例えば、より操作しやすい大型ボタンや音声案内機能、視認性を高めた明るい照明を採用しています。また、乗り降りをより安全かつスムーズに行えるよう、ドアの開放時間を長めに設定しているほか、手すりや荷物を一時的に置けるスペースも備えています。こうした工夫により、高齢者をはじめ、あらゆる利用者にとって快適で利用しやすいエレベーターを実現しています。

── 日本にすでにある大量のエレベーターを、この仕様に置き換えていくということでしょうか。それとも新設中心ですか。
ジュディ:大きく3つの機会があると考えています。1つ目は新設です。特に住宅をはじめとする新しい建物への導入が期待されています。2つ目は、既存設備を新しいエレベーターへ全面的に更新する改修です。そして3つ目は、エレベーター全体を取り替えるのではなく、かごや内装など一部を改修するアップグレードです。さらに、お客様のニーズに応じて新たな機能やデジタル技術を追加し、設備の価値や利便性を高めていくこともできます。このように適用範囲は非常に幅広く、エレベーターは安全性、快適性、性能の面で大きく進化します。
■ 老朽化にどう向き合うか──「壊れる前に」を可能にするデータ
── 日本では水道管や高速道路のトンネルなど、他のインフラで老朽化に起因する事故が起きています。エレベーターでそれを起こさないために、どうアプローチしていますか。
ジュディ:お客様とはできるだけ早い段階から改修計画について対話を始めるようにしています。多くのエレベーターはネットワークにつながっており、運行状況や設備の状態に関するデータを継続的に取得しています。そのデータを活用しながら、お客様とともに最適な改修計画を策定しています。
ビルの改修は、施設が利用され続けている中で実施しなければなりません。オフィスで働く方々や居住者の皆様の日常を維持しながら工事を進める必要があります。そのため、設備の更新だけでなく、最新の安全基準や法規制への対応、さらには将来を見据えた投資計画まで含めて検討することが重要です。また、私たちは新しい機能やデザインの提案も積極的に行っています。設備の老朽化にどう備えるべきかをお客様と共有しながら、建物の将来価値を高めるためのロードマップをともに描いています。
同時に、省エネルギー性能の向上も重要なテーマです。たとえば 「ReGen® ドライブ」(回生ドライブ)を活用することで、エネルギー効率を高めることができます。私たちは改修にあたり、デザイン性、先進技術、そしてサステナビリティという3つの観点を組み合わせ、お客様にとって価値ある提案となるよう心がけています。
私たちの使命は、人々の安全で安心な移動を支えることです。お客様にエレベーターメーカーを意識していただく機会は多くないかもしれません。しかし、それこそが私たちの目指す姿でもあります。エレベーターが常に安全かつ確実に稼働している状態を維持することが何よりも重要だからです。
世界中で約45,000人のフィールドプロフェッショナルが、エレベーターの設置だけでなく、その後の保守・点検や性能維持にも日々取り組んでいます。私たちは、お客様の日常を支える重要なインフラが安全かつ効率的に稼働し続けるよう、絶えず努力を続けています。
■ AI・予知保全・ロボット、エレベーターは進化し続ける
── エレベーターは「乗って降りる」もので、技術の変化の影響は小さいと思っていました。実際にはAIやデジタル技術で変わっているのでしょうか。
ジュディ:実は、テクノロジーの進化はエレベーター業界に大きな変革をもたらしています。
まず、AIを活用してエレベーターの運行を最適化しています。建物内の利用状況や人の流れを分析し、どのエレベーターをどこに配置するかをAIが判断することで、利用者の待ち時間を短縮し、より快適な移動体験を実現しています。
また、エレベーターはインターネットを通じてつながっています。オーチスのIoTプラットフォーム「Otis ONE™」では、機器の状態や稼働データを24時間365日モニタリングし、分析しています。その結果、利用者に影響が及ぶ前に潜在的な不具合を把握し、先回りして対応することができます。
これは、故障が発生してから対応する従来型の保守から、データに基づいて故障を未然に防ぐ予兆保全への進化を意味します。現在、世界では約110万台の保守対象機器が接続されており、必要な部品を事前に準備したうえで現場に向かうなど、効率的で高度なサービスの提供を可能にしています。
さらに昨年、中国ではAIエージェントを活用したエレベーターの導入を開始しました。利用者が音声で行き先を伝えるだけで、AIが内容を理解し、目的のフロアへ案内します。例えば病院であれば、「〇〇先生の診察室に行きたい」と伝えると、AIが適切な行き先を案内し、スムーズな移動をサポートします。
もう一つ注目しているのがロボティクス分野です。現在では、ロボットが自らエレベーターを呼び出し、乗り込み、目的階で降りることができるようになっています。これにより、配送、清掃、警備といった業務の自動化が可能になります。
ホテルはその代表的な活用例ですが、この分野で特に先進的な取り組みを進めているのが日本のお客様です。日本は労働力不足という社会課題を抱える一方で、先進技術の導入にも積極的な市場です。私たちは、ロボットとエレベーターの連携がこうした課題の解決に大きく貢献できると考えており、多くのお客様から高い関心をいただいています。
私たちは、エレベーターを単なる移動設備ではなく、人と建物、そしてデジタル技術をつなぐスマートなインフラへと進化させていきたいと考えています。テクノロジーの力によって、安全性、利便性、効率性をさらに高めながら、人々の移動体験をより良いものにしていきます。

── 既存のエレベーターをそうした最先端の仕様に改修するのは、現実的にどのくらいの期間がかかるものですか。
ジュディ:改修にはさまざまなアプローチがあるため、一概に工期を申し上げることはできません。また、同時に何台のエレベーターを更新するかによっても大きく変わります。エレベーター全体を最新設備へ更新する全面的な改修もあれば、一部の設備のみをアップグレードする改修もあります。
実際には、お客様のご要望に応じて数週間で完了した事例もあります。一方で、20台、30台といった大規模な改修プロジェクトでは、計画から施工までにより長い期間を要します。建物を利用されている方々への影響を最小限に抑えるため、工事は通常1台から2台ずつ段階的に進める必要があるからです。
オーチスは、世界中でさまざまな改修プロジェクトを手掛けてきました。例えばドバイのブルジュ・ハリファでは、最上層部のエレベーターの緊急改修工事をわずか5日間で完了しました。また、1932年にオーチスが設置したニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディングのエレベーターも、近年改修工事を実施しています。
一方で、築20年程度のビルでも改修需要は増えています。ビルオーナーにとって、テナントに選ばれる魅力的な環境を提供することは重要な課題です。美しいデザインや最新技術を備えたエレベーターは、利用者の満足度向上だけでなく、建物全体の価値向上にもつながります。
現在、世界では約900万台のエレベーターが改修の時期を迎えつつあります。私は、この大きな市場の機会と今後拡大する需要に大きな可能性を感じています。そして、人材と技術というオーチスの強みを基盤に、私たちはその期待に応え、成長の機会を着実に捉えていく準備が整っています。
【日本最古のエレベーターもオーチス製】
世界一高いビルの最新設備を5日間で改修する一方で、同社が100年間守り続けている1台が京都にある。老舗中華料理店「東華菜館」にある、手動開閉式ドアを備えた歴史あるエレベーターだ。
建物は1926年、山の上ホテルや大丸心斎橋店を手がけた建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計で竣工した。ヴォーリズが設計した唯一のレストランで、スペイン・バロック様式の意匠を今も保つ。開業以来、米国で製造されて海を渡った1台のオーチス製エレベーターが客を運び続けており、2026年に設置100周年を迎える。日本最古の稼働エレベーターだ。
鉄製の格子扉も、真鍮製のオペレーター用制御ハンドルも当時のまま。オーチスは定期的なメンテナンスと部品交換を徹底し、オリジナルの機械構造を保ったまま安全な稼働を維持してきた。

■ 日本は最重要マーケットの1つ
── 日本市場の現在地と、グローバルにおける位置づけを教えてください。
パトリック・ヨング氏(以下、パトリック):日本市場は急速に成長しています。要因はご存知の通り人口の高齢化で、それに加えて建物やインフラの老朽化も進んでいます。改修のニーズはますます高まっており、この強い需要が日本市場の成長の原動力になっています。
ジュディ:日本は私たちにとって最も重要な市場の一つです。90年以上にわたり日本で事業を展開してきましたが、私たちは今なお日本から多くの学びを得ています。
その理由はいくつかあります。まず、日本は世界でも特に高齢化と人口減少が進んでいる国の一つです。そして、現在日本が直面しているこうした社会変化は、今後多くの国々でも共通の課題になっていくと考えています。
さらに、日本のお客様は製品品質だけでなく、サービスや業務プロセスに至るまで非常に高い水準を求められます。その期待に応えながら培った知見やノウハウは、日本だけにとどまらず、世界中の市場で活かすことができます。
だからこそ、日本は私たちにとって単なる重要市場ではなく、未来の市場ニーズを先取りする先進的な市場でもあるのです。
また、世界的に見ると改修需要は今後も拡大していくと見ています。私たちは、改修の市場が今後15~20%成長していくと見込んでおり、日本で培った経験やソリューションが、その成長を支える重要な役割を果たすと考えています。
── 日本は国産メーカーが強い市場です。そのなかで、オーチスならではの強みはどこにあるとお考えですか。
パトリック:私たちは、日本企業とは異なる強みを持っていると考えています。そして、それが私たちの競争力の源泉になっています。
まず挙げられるのが人材です。改修市場の拡大に伴い、今後はさらに多くの人材が必要になります。オーチスは200を超える国と地域で事業を展開するグローバル企業であり、社員には多様なキャリアの機会が用意されています。
海外で経験を積み、新たな知見を得る機会があることもその一つです。実際に、日本で働く社員の中にも海外での勤務経験を持ち、その経験や学びを日本の事業に活かしている人が数多くいます。こうしたグローバルなキャリアの可能性は、次世代の人材にとって大きな魅力の一つだと感じています。
また、グローバル企業であることは、人材面だけでなく、サプライチェーンやイノベーションの面でも大きな強みになります。日本で生まれた優れたアイデアやソリューションを世界へ展開することもできますし、海外市場で実績を上げた技術を日本市場に導入することも可能です。
例えば、中国で導入したAIエージェント搭載エレベーターも、その一例です。各市場のニーズや事業環境を踏まえながら、成功した技術やソリューションをグローバルに展開していくことができます。こうした知見や技術の共有は、グローバル企業ならではの大きな価値だと考えています。
そして、もう一つ重要な強みがあります。それは、オーチスの企業文化です。私はオーチスで20年以上働いていますが、日本に限らず世界中の社員に共通しているものがあります。それが、私たちが「Otis Absolutes(オーチスの絶対)」と呼んでいる3つの価値観です。一つ目は安全、二つ目は倫理、そして三つ目は品質です。多くの企業ではこれらを「バリュー(価値観)」と呼ぶかもしれません。しかし私たちは、これらは決して妥協できない絶対的な基準であるという考えから、あえて「アブソリュート(絶対)」という言葉を使っています。
新しく入社した社員にも、長年キャリアを築いてきた社員にも共通しているのは、この考え方への共感です。なぜオーチスを選んだのか、なぜ働き続けているのかを聞くと、多くの場合、この安全、倫理、品質という3つの価値観への共感がその理由として挙げられます。
だからこそ私たちは、事業を成長させるだけでなく、これらの価値観を大切にしながら、お客様や社会から信頼される企業であり続けたいと考えています。

■ 地震国・日本が、世界の標準になる
── 日本は地震や災害が非常に多い国です。それを見越した設計になっているのでしょうか。
ジュディ:エレベーターには地震を検知するシステムが搭載されており、地震を感知した場合には安全のために停止する機能を備えています。実は、日本は地震対策に関するエレベーターの安全基準が世界でも特に進んでいる国の一つです。
2009年9月以降に着工された新設エレベーターには、地震センサーと連動して自動的に最寄り階へ停止する「地震時管制運転装置」の設置が法律で義務付けられています。そのため、地震発生時には利用者の安全確保を最優先に、エレベーターを速やかに停止させることができます。
パトリック:先ほどお話ししたように、私たちのエレベーターは「Otis ONE™」によってつながっており、24時間365日、パフォーマンスをモニタリングしています。
最近も大きな地震がありました。ここ数カ月、地震が増えていますが、この技術によってエレベーターの状態をリアルタイムで把握することができます。そのため、状況を迅速に確認し、サービス復旧までの時間を大幅に短縮することが可能です。お客様から「エレベーターが止まっている」というご連絡をいただく前に、私たちの側から数千台規模のエレベーターへの対応を開始することもできます。
さらに、最新のGen3™ エレベーターには「地震時自動診断・復旧システム」を搭載しています。震度4相当以上の地震を検知した場合、地震時管制運転が完了した後にエレベーター自身が自動診断運転を実施します。その結果、異常が検知されなければ、サービスエンジニアによる現地点検を待つことなく、仮復旧運転によってエレベーターの利用を再開することができます。これにより、地震発生後のダウンタイムを最小限に抑え、お客様の日常生活や事業活動への影響を軽減することができます。
── 災害が多く、人口も減っていく。それでも日本への投資価値は高いとお考えですか。
パトリック:その通りです。私たちは日本市場にコミットし続けます。日本は先行指標的な位置づけです。日本では高齢化が進んでいますが、今後は世界の多くの国々も同様の課題に直面していくでしょう。ですから日本で卓越したサービスを提供できれば、世界の他の市場でも価値を提供できると考えています。
実際、ここ数年で採用人数が最も多くなっています。2025年には千葉県芝山町に新たな研修施設、「コンストラクション・トレーニング・センター」を開設しました。ここでは据付や改修に加えて、Otis ONE™、eView™、エレベーターとロボットの連携といったデジタル技術についても実践的な教育を行っています。
必要なのは、営業職を含む多様な人材です。日本では、製造から据付、保守、改修まで、エレベーターのライフサイクル全体を支える総合的なサービスを展開しており、その価値を支えているのは人材にほかなりません。ですから次世代のSTEM教育に力を入れています。学校との連携を強化し、インターンシップを提供し、ソーシャルメディアを通じて学生との接点も広げています。「Made to Move Communities™」というSTEMプログラムでは、昨年、日本全国の16校から18の高校生チーム(計131名)が参加し、広島県豊田郡の広島叡智学園のチームがアジア太平洋地域大会で優勝しました。本年度も9月から参加チームを募集しています。

■ 「かごが上下するだけ」ではない。エレベーター会社のキャリアとは
── 外から見ると、エレベーター会社での働き方は想像しにくい部分があります。どんなキャリアが目指せるのでしょうか。
パトリック:実は私も入社する前は、エレベーターに対して同じようなイメージを持っていました。単純に人や物を上下に運ぶ設備だと思っていたのです。
ただ実際にオーチスに入社してみると、エレベーターは非常に興味深く、複雑な製品だとわかりました。機械、電気・電子、ソフトウェア、さらにはAIまで、多岐にわたる技術が組み込まれており、非常に高度で専門性の高いスキルが求められます。イノベーションも常に起きています。
それは製品開発や技術の側面ですが、オーチスには営業やマーケティングなど、さまざまな職種があります。そして何より重要なのが、現場で活躍する社員たちです。エレベーターを毎日安全かつ確実に稼働させるために保守・点検を担っており、私たちの事業を支える非常に重要な存在です。加えて管理部門もあります。私たちは200を超える国と地域で事業を展開しており、多様なキャリアを築く機会に恵まれています。私自身もカナダでキャリアをスタートし、その後いくつかのポジションを経験して、2年前に日本へ赴任しました。
経営陣の中にも、現場でキャリアをスタートさせた人が数多くいます。そして今では、それぞれの分野で大きな組織や事業を率いる立場となっています。しかし、キャリアや役職が違っても、私たちは共通の目的を持っています。それは、世界中の人々が安全に移動し、より豊かな生活を送れるよう支えることです。その使命が、日々の仕事の原動力になっています。

── 最後に、20代・30代のビジネスパーソンへのメッセージをいただけますか。
ジュディ:私が若い世代の皆さんにお伝えしたいのは、自分自身が価値を生み出し、社会や組織に貢献できる仕事を選んでほしいということです。
そして、私たちも20代、30代の皆さんから多くを学べると考えています。デジタルネイティブである彼らは、私たちにはない視点や発想を持っています。新しい世代が加わることで、組織はさらに成長し、進化していくことができます。もし私たちのビジョンに共感していただけるのであれば、ぜひオーチスでキャリアを築いてほしいと思います。そして、それぞれの強みを生かしながら、お客様や社会に価値を届ける存在として活躍していただければ嬉しいですね。
エレベーターは、意識されないことがそのまま品質の証明になる製品だ。だが意識されない設備であるがゆえに、老朽化は見過ごされやすい。
京都で100年動き続ける1台と、ドバイで5日間で刷新された1台。その両方を同じ会社が担っているという事実は、この産業が「作って終わり」ではないことを端的に示している。
世界で約900万台。そのなかでも高齢化と建物の老朽化が同時進行する日本は、この産業にとって最も条件の厳しい市場であり、だからこそ最も価値のある市場でもある。「日本で応えられれば、世界に展開できる」。期待値の高さそのものを資産として扱う姿勢は、縮小市場と言われ続けてきた日本にとって、ひとつの反証になりうる。
