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日本政府が月例経済報告で企業収益を下方修正 関税影響への警戒続く

日本政府が、2025年8月27日に公表した月例経済報告において、企業収益の判断を8カ月ぶりに下方修正した。背景には、米中を中心とした貿易摩擦に伴う関税の影響が長期化していることがあるという。政府は、国内外の経済環境が企業業績に与える影響について、引き続き注意が必要だとの見解を示した。

今回の報告では、景気全体について「緩やかに回復している」との基調判断を据え置いたものの、企業収益に関しては「弱含み」との表現に切り替えられた。特に輸出関連企業では、主要市場である米国向けの出荷が減少傾向にあり、利益面での下押し圧力が強まっているとされる。

また、関税の影響は製造業のみならず、小売や物流など幅広い業種にも波及しつつある。輸入品価格の上昇は消費者物価にも影響を及ぼし、企業の価格転嫁が進みにくい状況が収益悪化に拍車をかけているという。政府は「貿易政策の動向や海外経済の先行きが国内景気に与える不確実性は大きい」とし、企業活動への影響を注視する姿勢を示した。

一方で、設備投資や雇用環境については底堅さが維持されており、景気全体の腰折れを懸念する段階には至っていないと判断された。今後は、為替変動や海外経済の減速リスクに加え、関税を巡る各国の交渉動向が企業収益の回復に大きな鍵を握る見通しだ。

今回の修正は、内需の堅調さと外部要因の逆風が交錯する日本経済の現状を映し出すものといえる。政府の警戒姿勢が示されたことで、政策対応の方向性や追加施策の有無にも関心が高まっている。