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国内スタートアップ資金調達 金額・件数ともに2桁減 2025年上半期は選別厳格化が鮮明に

2025年上半期(1〜6月)の国内スタートアップによる資金調達額は総額3,810億円となり、前年同期比で26.2%減少したことが7月30日に明らかになった。調達を実施した企業数も1,209社と前年同期比で24.7%減と、金額・件数ともに大幅な落ち込みとなった。

国内スタートアップの資金調達環境は、世界的な金利高や株式市場の不安定さに加え、国内ベンチャーキャピタル(VC)による投資選別の厳格化が影響しているとみられる。特にシリーズA以降の成長ステージにある企業では、希望する水準の資金を確保できず、調達規模の縮小や条件の見直しを迫られるケースが目立つという。

一方で、生成AIやクリーンテックといった特定領域では依然として資金流入が続き、大型案件も散見された。新興の気候テック企業や、独自のAIモデルを開発するスタートアップが数十億円規模の調達に成功する例もあり、分野ごとの明暗がくっきりと分かれる結果となっている。

2024年は年間で過去最高水準に近い調達額を記録したが、その背景には上場市場の好調や海外投資家からの積極的な出資があった。しかし2025年は、IPO後の株価低迷リスクを警戒する動きや、海外勢の投資抑制が顕著になっており、これまでの勢いは鈍化している。

専門家からは、今後は単なる資金依存の成長戦略から脱却し、収益モデルの早期確立や資本効率の向上がより重要になるとの見方が出ている。また、調達の多様化としてベンチャーデットや事業会社との協業資金など、エクイティ以外の手段を活用する動きも広がりつつある。

スタートアップ業界は、調達環境の変化を逆手に取った経営判断が問われる局面に差し掛かっている。今後の半年間で、どの企業が資金調達の減速局面を乗り越え、持続的な成長への道筋を描けるかが注視される。