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ANAがAIによる乱気流予測システムを導入で安全・快適性を強化

全日本空輸(ANA)が、2025年8月1日にBlueWX株式会社が開発したAI乱気流予測システムを正式導入したことを発表した。同システムは深層学習(Deep Learning)を活用し、日本上空において86%の正答率で乱気流を予測できる点が特長とされている。ANAはすでに一部機材への搭載を進めており、2025年度中にはさらなる展開が見込まれている。

BlueWXは、気象とAI技術の融合を目指す気象テック企業。従来の気象観測やパイロットの経験に頼っていた乱気流の把握を、AIによって高精度かつリアルタイムに可視化する仕組みを構築した。今回ANAが導入した予測モデルは、過去の気象データと航空機センサー情報を学習させたもので、特に日本列島上空での実効性が高いことが実証されているという。

ANAにとって、今回の導入は航空機の安全運航のみならず、機内サービスの安定や乗客の快適性向上にも寄与する取り組みと位置付けられている。気流の変化に応じたシートベルト着用サインの最適化や、機内サービス中の揺れ回避など、乗客体験の質を高める施策として注目される。

また、AI予測によって航空機のルート変更や運航計画にも柔軟性を持たせることが可能となり、燃料消費の抑制や定時運航率の向上にもつながると見られている。ANAは、同技術を国内線のみならず、国際線への展開も視野に入れているという。

BlueWX側は今回の提携について、「AIによる空のインフラ整備における第一歩」と位置付けており、今後は雷雲や積乱雲の予測技術との連携も視野に入れている。

空の安全と快適性の高度化が進むなか、ANAとBlueWXによるAI乱気流予測の実用化は、航空業界におけるテクノロジー導入の新たなモデルケースとなりそうだ。