GoogleがAI通話代行機能を実装

Googleが、2025年7月18日にAIによる電話代行機能を米国市場で公開したと発表した。ユーザーが入力した内容をもとに、AIが自動で店舗に電話し、価格や在庫、サービス内容などを確認するというもので、対応業種はペットサロンやドライクリーニング店、整備工場などローカルビジネスが中心となる。
GoogleはこれまでもAIを活用した機能を検索体験に統合してきたが、今回のアップデートでは、AIがユーザーに代わって実際の電話まで行う点で、より一歩踏み込んだアプローチとなった。検索結果に「AIに価格を確認させる」ボタンが表示され、ユーザーはフォームに希望内容を入力するだけで済む。数時間後には、AIが通話で得た情報をテキストやメールでまとめて通知する仕組みだ。
なお、AIが発信する電話は「Googleの自動音声システムであること」を店舗側に明示する仕様となっており、通話を受ける事業者には配慮された設計となっている。拒否設定も可能で、透明性と選択性の両立を図っているという。
今回の機能は、米国での試験運用を皮切りに展開され、今後は対応業種や地域を拡大していく方針だ。また、同時に発表された「Gemini 2.5 Pro」や「Deep Search」といった最新の検索AI技術とも連携しており、情報取得から行動までを一気通貫で支援する“AIエージェント”としての色を強めている。
Gemini 2.5 Proは、複雑な検索意図にも対応可能な大規模言語モデルで、推論やプログラミング、長文読解などにも強みを持つ。Deep Searchは複数の情報源を統合し、出典付きの高品質な検索結果を数分で提示する機能として、主に調査・分析用途に活用が期待されている。
Googleは2018年に人間のように話すAI「Duplex」を発表して以来、AIによる通話技術の開発を続けてきたが、今回はより実用性と倫理性を重視したかたちでの再展開といえる。若年層を中心に「電話が苦手」「問い合わせが面倒」と感じる層が増える中、日常の行動すら代行する検索体験は、新たなユーザー体験の入口となるかもしれない。
ユーザーの行動そのものを肩代わりする今回の通話代行機能は、検索エンジンの役割を「情報提供」から「実行支援」へと進化させる試みとして注目される。
