150兆円の小売市場へ挑む、SNS動画を活用したマーケティング支援を手掛けるNELがベンチャーキャピタルなどを引受先とする第三者割当増資で6億5000万円を調達したと発表した。消費者が好きな化粧品などを購入してSNSに動画を投稿すると報酬を受け取れるサービス「osina」を拡充し、動画投稿者をファンに育てていくようだ。
NELは、「産業革命の中心を、ここに」のパーパスに基づき、産業革命を起こすマストハブカンパニーとなることを使命とし、OMOといわれるオンラインとオフラインのデータ融合を行うリテールテックカンパニーだ。自社ECや会員アプリなどデジタル上での体験から、店内行動の把握やデジタルサイネージなど店舗上での体験を一気通貫でサポートしている。
2023年に始めた「オシナ」は消費者が好きな化粧品や日用品を小売店で購入し、商品の特徴や使い方を紹介する動画をSNSのTikTokやインスタグラムに投稿する。動画の再生数が多いほど、多額の報酬を受け取れる仕組みになっているようだ。
ロート製薬、花王など大手メーカーと連携して投稿対象の商品を増やしており、動画の累計投稿本数は3万本、再生回数は20億回に上る。NELがメーカーから受け取る収益も拡大し、24年11月期の全社の売上高は前期比2倍の10億円を超える見通しだそうだ。
NELはSNSの情報に加えて消費者が購入したレシートを収集し、実店舗の購買データも蓄積している。今後はこれらを活用し、動画の投稿者が継続的に商品を購入してくれるファンになるまでを支援する。具体的には新商品や季節にちなんだお得な情報を特定の消費者に配信できる顧客情報管理(CRM)機能を開発し、25年前半に投入していく。
今回の第三者割当増資はVCの三井住友海上キャピタルなど7社が引き受けた。調達資金は開発・営業人員の獲得にも振り向け、現在は10人弱の社員数を25年11月までに70人に増やす計画だと意気込みを語る。
■NEL コーポレートサイト
https://www.nel-all.com/