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渋谷と目黒にグローバルスタートアップ拠点を設置

政府主導でスタートアップ支援の新たな中核拠点となる「グローバル・スタートアップ・キャンパス(仮称)」が、東京都内の渋谷区と目黒区に設置されることが、2025年7月13日に正式に発表された。ディープテック分野を中心とした国内外のスタートアップ育成と国際連携を担う旗艦プロジェクトとして位置づけられている。

「グローバル・スタートアップ・キャンパス」は、経済産業省と東京都が連携し、スタートアップの成長に必要な研究開発環境、アクセラレーション支援、海外ネットワークとの接続機能などを一体的に整備する構想だ。設置場所には、グローバル人材が集積する渋谷エリアと、企業の研究機関が多く立地する目黒エリアが選ばれた。両拠点を相互補完的に活用し、異なる機能を持つ二拠点体制での運営が予定されている。

キャンパスの設計思想は「世界と競争し、協働できる起業エコシステムの拠点づくり」にあり、特にディープテック領域に注力する点が特徴だ。半導体、量子技術、バイオ、AIなど、基礎研究から社会実装までに長期の支援が求められる分野に対し、大学や研究機関、企業、投資家を巻き込んだオープンな環境を提供する。

また、本プロジェクトは、海外の有力アクセラレーターやベンチャーキャピタルとの連携も視野に入れており、日本のスタートアップがグローバル展開する際のハブとしての役割も担う。国内外のスタートアップが日本市場にアクセスするための窓口機能も設けられる予定で、双方向の国際交流促進を図る。

政府は2025年度中の一部稼働を目指し、今後の運営主体については公募を含む検討が進められる見通し。既存のスタートアップ支援拠点との連携も視野に入れつつ、エリア全体を国際的なイノベーション拠点へと引き上げていく計画だ。

岸田政権は「スタートアップ育成5か年計画」の中で、2027年度までにユニコーン企業を100社創出するという目標を掲げており、本キャンパスはその柱の一つとして機能する。東京のみならず、全国各地のスタートアップ支援エコシステムともつながるハブとしての発展が期待されている。

グローバル競争が激化する中、研究開発型スタートアップに求められる支援のあり方が問われている。今回の新拠点は、単なるインフラ整備ではなく、人材・資金・国際ネットワークを結集した「共創の場」として、国内スタートアップの可能性を広げる起点となるか注目される。