【グローバルビジネスマンインタビュー】世界のビジネス拠点ドバイの不動産エージェントの働き方とは?

アラブ首長国連邦の一つ、ドバイ。今、大きな成長を続けており、世界各国から人々が集うビジネスの交流地点となっている。そんなドバイで、ある日本人男性ビジネスマンが活躍中だ。それは不動産会社アペックスキャピタルリアルエステートの日本人エージェントの一人、東成樹氏だ。

今回は、東氏がドバイへやってくる前の経歴から現在の仕事、キャリアなど、グローバルで活躍する一人のビジネスマンの姿を追う。

■ドバイ移住前に広告代理店で積んだ経験

東京大学と大学院へ現役入学し、卒業後に、広告代理店の電通へ新卒入社した東氏。8年間にわたり、コピーライティング、マーケティングそして営業の仕事を経験した。

【プロフィール】

東 成樹氏(ひがし・なるき)

APEX CAPITAL REAL ESTATE LLC

Property Consultant

東京大学大学院総合文化研究科卒業後、2015年に株式会社電通入社し、コピーライティング、SNS企画・運用、営業等を担当。著書にアートをビジネスに取り入れる実践法を体系化した『アート・イン・ビジネス』(有斐閣)がある。2022年頭に取材で訪れたドバイの可能性を実感し、電通を退職してドバイに移住。現在はドバイの不動産会社APEX CAPITAL REAL ESTATE(アペックスキャピタル リアルエステート)のエージェントとして活躍中。

https://apexcapitaldubai.com/jp

「コピーライターは、クライアント企業の課題を解決するために機能する言葉を見つけ出すのが仕事。大手経済新聞や、誰もが知っている有名漫画のコピーなどを担当しましたが、優秀な先輩がたに鍛えられました。クライアントへの打ち合わせの前には100案のコピーを作り、先輩に選んでもらうのです。また語学力を活かし、毎月1回『世界のバズ事例』の記事を書くことになったときも、偉大な先輩を前に能力不足を実感。一度草稿を書くと、ぼろぼろに赤字を入れられてかえってきました」

東氏はコピーライターの仕事を通じて、多くのことを学んだ。

「誤った情報を伝えない責任感・覚悟、読みやすくするためのピアノのようなリズム感などの音楽性、最後までやりきる胆力。自分の立場から意見を言うこと、『脳みそが全部筋肉』などの現象へのネーミング力といった、コピーや記事を書くためのさまざまな手法を会得しました」

その後、約7年が経った後、営業の部署へ出向することとなった。

「担当は、日本の大手化粧品会社さんでした。役割はクライアントと大先輩クリエーターの間に立ち、お互いが実現したいことや金額感、スケジュールを調整し、クライアントの納得する納品物を事故なく届けること。しかしうまくはいかず、両者の板挟みに合い、時には事故を起こすこともあり、追い込まれ、怒られることもありました。けれど当時の直属の上司は何が起きても絶対に逃げない人でした。上司に助けられる形で、新商品の進行を1から10まで一通り見届けることができました」

■ドバイ移住のきっかけ

東京で会社員として勤めていた東氏が、なぜドバイに移住することになったのか。

「きっかけは、電通で隣の席だった友人が急に退職し、家族でドバイ移住したこと。それまで私はドバイに行ったことはもちろん、興味も特にありませんでした。しかしちょうど2022年にドバイ現地でドバイ万博が開かれていたため『世界のクリエイティブのトップが集まる場所だから、東くんも来てみなよ』と誘いを受け、移住した友人と会うことも兼ねて初めてドバイの地を踏みました」

東氏にとって人生の転機となった海外旅行が、このドバイ旅行であった。世界的に見ても最先端をいく都市を目の当たりにして、豊かな感性が響かないはずはなかった。

「ドバイには、イギリス、インド、カナダ、中国と、世界各地から人が大勢訪れていました。コロナ禍ではありましたが、万博の期間中、約半年間で延べ2,400万人が訪れました。

街を歩くと、右も左も新しいビルが建設中で、日本とは異なる時間が流れていました」

そこで東氏の心に浮かんだのが、「これから、世界で複数の拠点を持ちたいな」ということ。グローバルに視野を広げ、活躍していきたいと考えたのだ。日本に帰国後から、かつてから縁のあった海外の友人たちと連絡を取り始めた。そしてインドへ取材に行ったり、シンガポールや香港やカナダに移住した友人とZoom会議をしたりして、海外移住という身の置き方を本格的に検討するようになった。

「移住先はいくつか検討していましたが、人とのつながりがあるドバイにて現地採用が決まりました。それが現在、勤めている不動産会社APEX CAPITAL REAL ESTATE(アペックスキャピタル リアルエステート)です」

■ドバイの不動産エージェントとしての仕事術

「現在は、Property Consultant(プロパティコンサルタント)としてドバイ不動産の正しい情報をお客様へご案内し、納得した選択ができるよう、サポートしています。いわゆる不動産エージェントの仕事です」と東氏。

同社ではドバイ不動産の売買、賃貸付から、法人設立、融資の相談、ゴールデンビザ取得まで日本語でサポートしている。日本在住だけでなく、海外に住む日本人にも案内をしているという。

「現状、ドバイやドバイ不動産の日本語での情報は限られており、イメージしづらいことも多いと思います。そこで、現地だからこそ得られる情報を分かりやすくご案内するように努めています」

東氏の一日は、まずSNSで問い合わせがあった顧客への返信から始まる。その後、ドバイでデベロッパーと会い最新の未公開情報などを入手。実際に建物が建つ現地などに赴くこともある。そうして収集した情報は、顧客への案内へ役立てられる。日本に住む顧客にZoomで案内したり、ドバイ現地に来た顧客を車に乗せて現地で案内を行ったりする。

■ドバイ不動産のリスクと向き合う

東氏が仕事で最も重視していることはどんなことか。

「現場に行って、自分の目で情報を確認すること。そしてメリットだけでなく、デメリットやリスクも正直に、積極的に話すこと。まだまだ日本語でのドバイの正しい情報は限られています。ドバイ不動産の正しい情報を発信して、お客様に納得いただくためのサポートを大切にしています」

東氏が「デメリットやリスクも正直かつ積極的に話す」のには理由がある。

「ドバイでは、デベロッパーが定めた仕様や、政府のルールが後から変わることがあるため、不動産物件を売るデベロッパーが『約束を守ってくれるか』を見極める必要があります。例えば、物件完成前にデベロッパーへ『この物件には、ホテルサービスがつきますか?』と質問して『もちろんです!』と返答があったとします。しかし、いざ完成したら『やっぱりサービスはつきませんでした』と言われることもあるのです。このようなリスクを避けるため、事前に落とし穴がないか契約書をチェックしたり、お客さんが物件を買う前に、悪い点やリスクも正直に伝えることを大事にしています」

日本の仕事で培った逃げずにやり切る力、そして会社と顧客のリスクを守り、顧客のために邁進する姿勢などが身を結び、社内のトップエージェントとして表彰されたこともあるという。

しかし彼にとってそれは一つの通過点に過ぎない。「今後も引き続き、ドバイの不動産の正しい情報を伝えていこうと思います」と熱意を燃やした。今後も、ドバイで活躍する有能な日本人ビジネスマンの一人として、成長と発展を期待したい。

  • Related Posts

    • 12月 26, 2024
    • 10 views
    「考えない社員」は会社の責任か?思考力を引き出す環境作りのカギ

    「最近の社員は自分で考えない」「指示待ちばかりで主体性が感じられない」 多くの企業経営者や管理職が、こんな声を漏らすのを耳にす…

    MORE

    • 12月 5, 2024
    • 98 views
    事業成長を加速させるイベント「GROWTH 祭 TOKYO 2025」開催決定

    日本のキャリアSNSおよびネットワークリクルーティングサービスの「YOUTRUST」を開発・運営するYOUTRUSTが、「GR…

    MORE